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首領暗殺から早くも月日は流れ、一年が経った。
森さんは狙い通り現首領となり、自身の人望のなさに溜息をついている。
もう少ししたらキッチンナイフで敵と戦うはめになるらしい。
キッチンナイフで戦うのは嫌だけれど、面白そうだと思う。
ふと、隣から聞こえるカシャカシャというビーカーにガラス棒が当たる音と液体を混ぜる音に意識を傾ける。
『治はさっきから何を混ぜているの?』
太「低血圧の薬と高血圧の薬。」
混ぜ終わったのかそれを飲もうとする。
『…はぁ、治が羨ましいよ。死ねる体っていいな。』
そう言って太宰の手からビーカーをとりあげる。
太「Aはそれを飲んでも死ねないだろう?だから返してよ。」
それを無視して私はゴクッゴクッとそれを飲み干す。
『うん、不味い。』
空になったビーカーを見て太宰はあー…と声を洩らす。
森「って、何飲んでるのAちゃん!?そもそも、その薬の調合では死ねません!全くどうやって薬品庫の鍵を開けたんだ?」
太宰は僕の行動と森さんの死ねないという言葉を聞いて、両手をばたばたさせながら死にたいと言う。
『分かるよ治。僕も死にたい…何故こうも毎日つまらない日常を生きなければならないんだろう…』
太「分かるよ、A。詰まんないから死にたい!なるべく楽に簡単に死にたい!森さん何とかして!」
と太宰は森さんへ向かって言う。
森さんはそれに少し呆れを見せるも、直ぐに言葉を返す。
森「大人しくいい子にしていたら、そのうち薬品の調合方法を教えてあげよう。」
『え、何それ。僕でも死ねる方法も教えておくれよ。』
じゃないと僕も悪い子になるよ、と言えば森さんはそれは勘弁しておくれ…と頭に手をやる。
森「Aちゃんの場合は…その呪いをどうにかしない限り、私の手ではどうにもならないよ…」
まぁご尤もな意見だ。
神の呪い。
それのせいで僕は死ねない。
なんて面倒くさい呪いなんだろう。
僕はひとつため息をはいて、窓の外をみる。
隣では太宰と森さんが何やら話をしているようだが、どうでもいいことなのでそれらは全てすり抜けていく。
見上げた空は嫌になるほど晴天で、綺麗な蒼空が広がっていた。
『(今日は空が蒼いな。)』
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かないろろ(プロフ) - 高評価押しました!味の保証はしません()明日香ちゃん推しになりそう… (5月2日 0時) (レス) @page11 id: 838d77be55 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - AKuRuSuさん» 高評価ありがとうございます(笑)この高評価、ばかうまいです! (2021年6月12日 20時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
AKuRuSu(プロフ) - 高評価です!美味しくいただいてくださいね。 (2021年6月11日 21時) (レス) id: ce85f22cc6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃねこ(プロフ) - よかったです! (2021年4月4日 0時) (レス) id: 7a16543b0a (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - ちゃちゃねこさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ美味いです。 (2021年4月3日 21時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2021年2月6日 23時