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手を引かれてついた先は職員室ではなく体育館近くにある自販機だった。
「監督が呼んでるんじゃ………
もしかして及川先輩あの場にいたくないから嘘ついてここまで来たんですか〜?
かっわい〜〜」
手を離し及川先輩を見ると耳が赤くなっていて、さっきの彼の言葉は嘘とわかった。
顔を覗き込みながらからかうように言うといじけたのか軽く睨んできた。
「そんな赤い顔で睨まれても怖くないですよー
へ?」
ニヤニヤと笑いながら言うと不意に肩を押されバランスを崩し背が壁にあたった。
「あの………及川先輩?」
私の顔の隣には及川先輩の手、目の前にはバレーをしている時と変わらないような真剣な顔。
私が彼を呼んでも返事はしてくれなく、ただ無言で顔を近づけてきた。
「男は可愛いよりかっこいいって言われたいものだよ。」
そういう彼の瞳の奥はギラついていた。
肉食動物の獣が獲物を見つけ狩をする時のようだ。
さっきとのギャップに胸が轟くように踊っている。それに合わせるように私自身の体温が上がっていくのが自分でもわかった。
彼の手が私の頬に触れ冷たさに思わず肩がブルっと震えた。
「ははっ……真っ赤じゃん」
「………離れてください」
さっきと逆の立場になったことに不服に思い、キッと睨むが彼には効果なかった。
「嫌だ………って言いたいとこだけど次は移動教室だから大人しく離れるよ。」
及川先輩は一歩下がるとスマホを取り出した。
「あ、そうそうAちゃん連絡先交換しようよ。他のみんなとはもう交換しちゃってさー。なんで俺には教えてくれなかっのー?」
本来の目的を思い出したのかさっきの事など無かったかのようにいつもの及川先輩に戻った。
「……皆さんの方から教えてくれたんです。はい。追加しててください」
スマホを取り出し彼に預けた。そして熱くなった頬を隠すように座り込んだ。
もう嫌だ……
なんださっきの反応は…私そんなキャラじゃないじゃん。
あれだ、普段の及川先輩はチャラいからあんな事してくると思わなかったんだ。
及川先輩のせいだ。
熱も収まり彼にスマホを返してもらおうと座り込んだまま手を差し出した。
「ん?起こしてほしいの?」
「違います。スマホ返してください。」
クスクス笑う及川先輩にスマホを返してもらうともう一つの手を捕まれ引き寄せられた。
「俺もう遠慮しないから。覚悟してね?」
耳元で囁かれた言葉にまた頬が赤くなっていく。
「じゃあ、またね。Aちゃん」
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みなみ(プロフ) - すごく面白かったです!最新きながにまってます! (2021年5月5日 0時) (レス) id: cc9951f69a (このIDを非表示/違反報告)
KIHARU(プロフ) - ちょこれえとさん» ありがとうございます。 (2020年1月2日 7時) (レス) id: f7a2f8183b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれえと - めっちゃ面白いです! これからも頑張ってください!! (2019年12月31日 22時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KIHARU | 作成日時:2019年8月14日 19時