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秘密の話 ページ16

「.....あの日。」

私は、禰豆子さんの目を見た。

「あなたと、あなたのお兄さんに切りかかって、ごめんなさい。」

私は頭を下げた。

しかし反応はない。ゆっくり顔を上げると、彼女はキョトンとした表情で私を見つめていた。

それでも、謝らなければいけないと私は思った。

「私は、誤解していたの。あなたから、その、鬼に似た気配がしていたから、鬼なんじゃないかって....。」

申し訳なさと罪悪感から、どんどん言葉があふれてくる。

「でも違った。あなたも、あなたのお兄さんも人間だった。.....私はね、感激したの。」

思い返すのはあの日、私が彼らに切りかかった日。

縛られて、身動きが取れない状況で、炭治郎は必死に妹を守ろうとしていた。

斬りかかる直前、私は炭治郎が妹を守るために、紐が自分の首を締めるのも気にせずに妹の身代わりになって切られようとしているのを、見たのだ。

「炭治郎さんは、あなたを守るのに必死だった。そして、彼は出雲さんのことも気にしてくれた。」

出雲さんは、私の大切な人だ。そんな彼の身を案じてくれたことも、嬉しかったんだ。

「あなたも、なんども兄や人々を守るために戦っていた。」

思い返すのは、ここ数日の禰豆子さんの様子。彼女は兄や私に鬼が危害を加えようとすると、私たちを守るために戦ってくれた。

「あなた達は、人を守るために戦ってくれていた。そんなあなた達が鬼であるはずない。」

私はもう一度、頭を深く下げた。

「本当に、ひどいことをしました。ごめんなさい。」

後悔が、胸を締め付ける。

私の刃は、守るための刃。人々のための刃であるはずなのに、それを私は人に向けてしまった。

ぐっと、拳を握りしめる。

すると、禰豆子さんの手が、私の頭に触れた。

心地よさに、顔を上げると彼女は私の頭を撫でていた。

「.....ゆるしてくれるの?」

私の問いかけに、禰豆子さんは笑った。

「.....ありがとう。」

ぽろり、涙が落ちる。

不思議だ。彼女はふだん幼い子供のようなのに、この時の彼女はまるで、母のようだった。

(ああ、そうか。)

「あなた、お姉さんだったのね。」

私が涙を流している間、彼女はずっと私の頭を優しく撫でてくれた。

私は、遠い日、母が私の頭を撫でてくれた時のことを思い出し、彼女の手に甘えたのだった。

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フジッピー(プロフ) - かなとさん» すみません。言われるまで気が付きませんでした。ありがとうございます。 (2019年9月19日 0時) (レス) id: 7e2904e8b4 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。違反だという意識はないんですか? (2019年9月18日 12時) (レス) id: bb9d67c977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フジッピー | 作成日時:2019年9月18日 12時

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