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門出 ページ17

炭治郎と禰豆子が夜長村を出てからしばらくして、私も村を出て旅をすることになった。

村を出たいと出雲さんに告げた時、彼はひどく驚いていた。

けれど、周辺の鬼を一掃してしまった今、この村にいても私の役目は果たせない。

村には私が作った袋や術で鬼も寄せ付けないようになっている。私がいなくても問題ない。

それならば私がするべきは、これ以上鬼に傷つけられる人々を増やさないように、鬼を滅することだ。

その考えを出雲さんに話すと、彼は黙ってうなづいてくれた。

しかし彼は3つ、私に約束事を設けた。

ひとつ、日中はなるべく外に出ないこと。

今までは晴れることが少ないこの村にいたからいいけれど、外の日差しはこことは比べ物にならないほど強い。

日に当たると肌がただれてしまう病気を持つ私にとって日光は毒なのだ。

ふたつ、なるべく怪我をしないこと。

巫女様がお怪我をなされたとあれば、出雲はご両親に顔向けできません、と言われた。

私のことを常に気にかけてくれてくれる出雲さんは、私にとって父親やお爺ちゃんのような方だ。

そんな人を心配させたくはないが、鬼と戦う以上、怪我は絶えないだろう。

私は極力気をつけると出雲さんに言った。

みっつ、必ずこの村に帰ってくること。

他の約束とは違い、”必ず”と強く強調されたこの約束に私は頷いた。

「必ず。必ず戻って参ります。」

私の言葉に、出雲さんは静かに頷いた。

その日の夜、私は社の奥、御神体がある扉の前で儀式を行った。

ろうそくに日を灯し、捧げ物捧げ、神楽を舞う。

しゃりん、しゃりんと鈴を鳴らしながら、私は舞った。

これは、神に捧げる舞。

村の安全を祈る舞だ。

しかし心の中で、私は神と、私の家族に祈りを捧げた。

(どうか、どうか、我らの村をお護りください。罪のない人々の命を、これ以上、鬼に奪わせないでください。)

出雲さんは、私の無事を祈ると言ってくれたが、私にとって自分の身のことなどどうでもよかった。

それよりも、私は出雲さんや村の人、そして世のすべての人々が救われることの方がずっと大事だった。

そんな私のことを察していたからこそ、彼はあの三つの約束を設けたのだろう。

それがわかっていて、”なるべく”という言葉に甘えてでも役目を果たそうと考えている私は、酷い人間だ。









次の日、私は村を出た。

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フジッピー(プロフ) - かなとさん» すみません。言われるまで気が付きませんでした。ありがとうございます。 (2019年9月19日 0時) (レス) id: 7e2904e8b4 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい。違反だという意識はないんですか? (2019年9月18日 12時) (レス) id: bb9d67c977 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フジッピー | 作成日時:2019年9月18日 12時

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