第七十八話_そして※カノ目線 ページ36
おかしい
周りは煩いくらい人が握わっている夜の街
なのに耳には僕の呼吸音しか入ってこない。
…さっきエネちゃんが言った言葉も耳に入らない。
いや、本当はわかってた気がする
ちゃんと聞こえてた気がする
僕が認めてないだけな気がする
『…ごめんエネちゃん、もう一回、言ってもらってもいいかなぁ?』
そう言った僕の声は震えていた。
エネ『…この建物の中に…(人2)さんはいます』
携帯のスピーカーからは、申し訳なさそうな声が聞こえた。
『………』
その言葉が胸に刺さり
堰を切ったように涙が溢れ出す
僕の目の前に聳えているのは…
もう言わずともわかるであろう、ホテルだ…
僕の身体から力が抜けて、その場にへなへなと座り込んだ
やっぱり僕のせいだ
僕のせいだ
僕のせいだ
(人1)が
(人1)がっ…
あの時(人1)を止められていたら
あの時(人1)が気がつかなかったら
あの時(人1)に優しい嘘をつけていたら
.
あの時(人1)と付き合わなかったら…
僕なんかが彼氏にならなければこんな事にはならなかった…
(人1)は幸せでいられたんだ…
様々な後悔が、頭の中を巡り、僕の中を駆け抜ける。
悲しいっていう感情の行き場が無くなって、
ひたすら僕の心を苦しめ
あの時無理矢理に見出した希望が全て絶望に染まって行った
僕は顔を地に伏して、ただ泣くことしかできなかった。
愛する人を失う事はとてつもなく辛い
けれど愛する人を他人に傷つけられたのは
もっともっと辛い
【あの時】の行動の選択で変われる未来だったなら、尚更。
絶望に打ちひしがれ、立ち上がる事も出来ない
涙がとめどめなく流れ終いには呼吸が荒くなる
胸が張り裂けそうだ…
いや、いっそ張り裂けてしまった方がどんなに楽だろうか
(人1)、ごめん
守ってあげられなくてごめん
こんな彼氏でごめん
僕だったからこんな目にあったんだ
(人1)には届かないってわかっててもこう言わずには居られなかった。
周りの目なんか気にしている暇じゃない
.
ふいに、
何言ってんの、修哉!
と、(人1)の声が頭の中に響いてくる…
こう言ってくれたらどんなに楽だろうか
.
.
.
.
(人1)『ってかこんな街中で何泣いてんの?』
えっ……?
34人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リオ - カノー (2017年8月21日 9時) (レス) id: 7081c42713 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - あぁ!最後のとか感動!面白かったです!私もカノと付き合いたいよ〜! (2015年7月3日 21時) (レス) id: 36de60488c (このIDを非表示/違反報告)
はるるるる(プロフ) - せとせとさん» ありがとうございます!!!いやいや、寧ろ私の方が文才分けて欲しい位ですよ…(切実に) (2015年1月8日 17時) (レス) id: 0b08eeb2ce (このIDを非表示/違反報告)
せとせと(プロフ) - がんばっくださいね♪あと、文才を分けてもらえたらうれしいです!! (2015年1月8日 16時) (レス) id: d61fed5f78 (このIDを非表示/違反報告)
はるるるる(プロフ) - せとせとさん» ありがとうございます!!続編は今のところ検討中です|ω-`*)もし作ることになったらその時はまた宜しくお願いします! (2015年1月8日 16時) (レス) id: 0b08eeb2ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるるるる | 作成日時:2014年9月14日 21時