92、夢現 ページ45
ここはどこだろう。
気がつくと、見知らぬ場所にいた。
「〜♪…〜♪」
どこかでオルゴールが鳴っている。
コロンコロンと心地よい音楽は、どこか懐かしさを引き出す。
…この曲、どこかで聞いたことがある?
ぼんやりする頭で考えていると、足音が近付いてきた。
優しい鈴のような声が降ってくる。
「あらあら、もう眠たいの?」
声の主を見ようと顔を上げるが、視界がぼんやりしていて焦点が合わない。
「うん…ねむい」
口から、自分の意志とは関係なしに言葉が出てきた。不思議な感覚だ。
「じゃあ、今日は絵本は読まないで寝ようか。ほら、今にも目が閉じそう」
ふふ、と可愛らしく笑うその人。
声のトーンからして女性なのだろう。
「…イヤ。A、まだあそびたい。ねむると"アクム"を見るからイヤ」
「そうね…じゃあ、Aに魔法をかけてあげる」
チュ、と髪にキスが落とされる。
「夢の中でも、いっぱい遊ぼうね」
優しい声と、甘い香りに包まれていく。
ゆらゆらと意識が途切れそうになったその時、
グチャ!
目の前に飛び散る、赤黒いナニカ。
途端に、心臓が激しく脈を打つ。
「…な、に」
嫌な予感がして、ゆっくり横を向く。
「あ…ぁ」
さっきまで優しく話していた女の人が、
______ぐちゃぐちゃに潰れていた。
「いやぁぁ!」
手で顔を覆う。
助けて、誰か。
誰がやったの、助けて助けて。
許さない許さない許さない。
______「お母さん!」
「A!」
ハッと目を開けると、兄が心配そうに覗き込んでいた。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時