81、医務室に消える少女 ページ34
次の日の朝。
国木田と一緒に出社し、探偵社の扉を開けるとナオミが抱きついてきた。
「Aさん！」
「おわっ！」
思わず尻餅をついてしまう。
なんだなんだと顔を上げれば、ナオミの顔が涙目になっていた。
「仲直りできたみたいで良かったですわ」
「仲直り？」
兄とのことだろうか。
でも何でそれを知って…
「私感動しました。
血は繋がってなくとも…Aさんと国木田さんはッ…グスッ…本当の兄妹同然ですわ…！」
「でも案外単純な理由だったねぇ」
「与謝野先生、言い方もうちょっとあるでしょう…！？」
「誤解がとけて良かった」
与謝野、谷崎、鏡花も続く。
「ちょ、ちょっと待って皆さん何でそれを…」
私と兄以外にこの話を知っている人は居ないはず。
いや待てよ……いる。
Aは、国木田にちょっかいをかけている人物をスッと見据えた。
「まさか太宰さん…皆に言ったんですか？」
「まあまあ、いいじゃないか。いつかは知ることだ」
犯人は太宰だった。
ケロッとした言い方に少し怒りを覚えたが、事情を説明しなくて済むのはありがたいな、と思い直す。
『一件落着…か』
ここ数日で色々なことがあったから、一段落ついたことにホッと息を吐く。
安心感から、腕を上げて伸びをした。
……この行動が駄目だった。
「おやぁ？A、指に怪我してるじゃないか」
「あぁ、これですか？」
与謝野に言われて指を見る。
確かに、右手の薬指には絆創膏を貼っていた。
「昨日、お兄ちゃんと一緒に料理していた時に切っちゃって…」
その瞬間、ゾクリと寒気が走る。
ポンと肩に手を置かれたと思えば、いつの間にか背後にニッコリ笑う与謝野が居た。
とてつもなく嫌な予感がする。
「それは大変だねェ。切り傷も悪化すると危険なんだ。治療してあげよう、来な」
与謝野が醸し出す恐ろしさに怯えながらも、大人しく医務室に消えたA。
これから少女が見るであろう地獄を想像した社員たちは静かに手を合わせた。
『Aちゃんどうかご無事で…』
皆の中でもよく治療される谷崎は少女の気持ちが痛いほど分かるため、若干涙目になりながらその姿を見送るのだった。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです！これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (
レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです！！この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2022年12月18日 22時
