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72、それぞれの覚悟 ページ25

ひんやりとした風が吹いて、思わず肌を擦る。
国木田を探し続けて約二時間。
彼はまだ見つからなかった。




路地裏の件の後、探偵社に戻ろうともしたが、電話で尋ねるとまだ帰って来てないとのことで。




「本当にどこに行っちゃったの…」




空を見上げれば、日が暮れてきていた。
もう探すのは諦めよう。
心残りを感じながら探偵社に戻ろうとした時だった。




服のボケットが震える。
いや、振動していたのはその中の電話だった。




「お兄ちゃんからだ」




国木田と表示された画面を見て、ホッと安心する。
応答ボタンを押して電話を耳に当てると聞き慣れた声が耳に届いた。




「…A、お前に伝えたいことがある。近くの公園まで来てくれないか」




いつもの真面目で落ち着いた声。
しかし、どこか緊張感も伝わってきた。
なにか大切な話をされるのだろうと瞬時に理解する。




「分かった」




短く答えて電話を切る。




『なんとなく分かってた。お兄ちゃんは何かを隠してるって』




何故素っ気ない態度をとるのか。
四年も連絡が取れなかった理由は何なのか。
それがもし、自分にとって辛い真実だったとしても。




『行くな、お前は絶対に嫌われてるんだ。それを再認識するだけなんだぞ』




直哉の声がまた響く。
…たとえ、嫌われていたとしても。




「もう覚悟は、できてる」




全て受け止める。
そう心に誓って、Aは足を踏み出した。




その頃、海の見える公園で一人、国木田も覚悟を決めていた。




『伝えると決めたんだ』




あの子には真実を知る権利がある。
たとえ、自分が嫌われてしまったとしても。




「覚悟は、できている」




国木田は拳を強く握った。

73、告げられる真実→←71、覚えのない記憶



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時

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