69、迷い子に恐怖の救いを ページ22
「ここ右だっけ?いや左?」
Aは来た道を戻ろうと頭を悩ませていた。
先程の国木田にそっくりな男はどこかへ行ってしまったし、こんな路地裏に人が通る気配もない。
「これ、本当に帰れなくなるんじゃ…」
段々と言いようのない不安が押し寄せてくるのを、頭を振って消し去る。
「ま、まあなんとかなるでしょ」
自分は昔から大人しい性格だと思われがちなのだが、全くそんなことはない。
嬉しいときは喜ぶし、イライラした時は怒る。もちろん不安になることだってある。
当たり前だ、人間だもの。
でもまあ……礼儀正しい方だとは思っている。
そんなことを考えている時だった。
コツ、コツと何処からか響いてくる革靴の音。
「…なに、?」
路地に人が居ることが分かり救いにも感じられたけれど、何故か不気味さという不安も込み上げてきて。
『なんだろう、この胸騒ぎ』
この足音の正体を見てはいけないような。
そんな不安と恐怖を覚え、Aは咄嗟に物陰に隠れた。
しゃがみ込み、足音の正体が通り去るのをじっと待った。
コツ、コツ…
コツ、コツ、コツ…
迷いのない足取りで近づいてきたその音は
……コツ
何故か通り過ぎることなく、Aが隠れている物陰の近くでピタリと止まった。
ドクンドクンと鳴る心臓がさらに煩く響く。
『私がここに居ることがバレている?
でも私何も悪いことしてないし…』
「おい」
「ッ!」
咄嗟に両手で口を抑える。
心臓が飛び出るかと思った。
急に聞こえたその声は、獣の唸り声のように低く恐ろしくて。
「そこに居るのは判ってンだ、出てこい」
『やっぱ何かやらかしたのかも!絶対殺されるううう!』
少女は涙目になりながら心の中で叫んだ。
『もう横浜嫌いになりそう!!』
と。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時