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ページ43

そう。私の味方は、友達は。

もう、とっくのとうに傍にいてくれた。

「嬉じい…私、世界一の幸せ者だよう、ロビン…!」

「…ええ、お嬢様」

ロビンが、私の背中に腕を回してくれた。その事実だけでも嬉しくて、私の涙は止まる事を知らないように、また流れ出した。
 やっと止まった時には、ロビンの目からもう雫は零れていなかった。

「…私も、世界一幸せな屋敷しもべです。お嬢様」

花が咲いたような、そんな笑顔を添えて云ってくれたロビンのその一言が。どれだけ私を救ってくれたか。
 彼女本人が気付く日は、やって来るのだろうか。


 私が応接間へやって来る頃には、もう客人三人はお茶を嗜んでいた。というよりも、遠慮してあと一口程度ティーカップに残しているようにも見えた。皿の上の茶菓子は、森さんのもの以外はどれも手つかずだった。

「随分時間をかけたねえ。お茶が冷めるところだったよ」

「すいません、森さん」

森さんの云ったその言葉さえも、何だか私の為についた嘘のような気がした。彼なら魔法でティーカップの中身も再度温められるだろうから。
 私はなるべく申し訳なさそうに(本当に申し訳ないとは思っているのだけれど)森さんの隣に座った。
 私の真正面には例の審問官、坂口安吾が腰を下ろしていた。私は改めて彼を観察した。彼が私を一方的に知っているのは矢張り悔しいものがあったのだ。
 審問官は、数いる魔法省の役人の中でも、特に魔法大臣に気に入られた高位の者が就くという。確かに彼の真面目でインテリそうな容貌は、役所では受けが良さそうだった。

 「では、話の前に一つ…いいでしょうか?」

彼がその口で何か言葉を紡ぐ度に、唇の左上に記されたホクロがよく動いた。…何故だかは、判らない。
 今の私は、この対談に集中出来ない。

「…どうぞ」ぶっきらぼうな声色だった。
私の口から勝手に出ていた。

「誠にありがとうございます」

こんな小娘相手に、彼は随分と慇懃な態度を見せていた。でも何故か今の私には、それが至極当然の事のように感じた。
 …実はこれまでずっと、私の目はこの男のホクロだけ(・・)を眺めていた。人の目を見て話すのは礼儀中の礼儀だというのに。まるでアレルギーのように私の心身がこの男を受け付けていないかのようだった。

 ふと、ホクロが一瞬の内にして、消えた。見えるのは旋毛だけだった。坂口の声が、耳に届いた。

「日本魔法省を代表して、深くお詫び申し上げます…!!」

伍→←参



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サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» こんな細かい描写にも気づいて頂けるなんて物書き冥利につきます!消せませんよ、でもここでは説明し切れないので後日改めて説明させて頂きますね! (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» お久しぶりです。しぇるふぃあ。さん、すごく読んで頂いているようなのでとても嬉しいです、ありがとうございます。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - ところで夢主ちゃんは前世が国語教師なのですよね?だったら41pに出てくる安吾さんの名前は知ってるはず…と違和感を覚えました(・・?) はっもしや伏線?ネタバレに触れるようでしたらこのコメントはそっ消ししてくださいm(_ _)m これからも陰ながら応援してます!! (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - お久しぶりです!しばらく顔を出せなかった間にすごく進んでて一気読み不可避でした…あんまり好きポインツ語るとコメ欄ネタバレになるので控えますが仲直り本当に良かったです(ネタバレ) (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 紫苑さん» 応援ありがとうございます!頑張らせていただきます! (2018年12月2日 23時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サラ | 作成日時:2018年9月20日 12時

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