【d】ぎすmemoGS【短編番外】

【番外編】お料理しましょう ページ15

※お世話シリーズ完結前のお話


「相変わらずうまいよね料理……」
「お前が下手なんだろ。」
「家庭科は5だったよ！」
「俺はオール5だったゾ！」
「流石総統閣下は言うことがちゃいますねえ！！」

そんな風にふざけながらも包丁の動きが滞ることはない。カンカンと子気味良いまな板の音がキッチンに響く。


「おいこらA、手止まってる。」
「あっ、ごめん。」

ついついその鮮やかな手さばきに見惚れていたらまたも手はとめず目だけよこして声をかけられた。

今作っているのは総統の得意料理でもあり、好物でもあるハンバーグ。
何が食べたいか聞くと大抵総統はこれをリクエストしてくる。でもその度惜しいと言われるもんだから、総統が作ってよ、と言ったら教えてもらえることになったのだ。

「A、ここ、」
「はいはい？」


工程が１つ終わるたびにこうして隠し味とかコツとかを割と丁寧に教えてくれる。
腕まくりにエプロンに整ったそのお顔……こいつはなんで本当にモテないんだ……
別に話を聞いてないわけじゃないけど思わず隣にいるやつの立ち姿をまじまじと見てしまう。
幼馴染の私ですらもドキッとするような(ごくたまに)仕草や出で立ち(内面は除く)をするけど(ごくたまに)やっぱり性格がどうにもーーーー


「ーーーおいA……」
「あっ！ひゃい！」
「ひゃいってお前やっぱ話聞いとらんかったな！！！」
「すみません！！こんなに外面はいいのにモテない総統って可哀想だなあって！あっしまった！」
「…………ほお。」


慌てて口を押さえてももう遅い。


ゆらり、と総統が振り返ってこっちを見下ろしてくる。


ま、まずい……！！！

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