検索窓
今日:1 hit、昨日:30 hit、合計:239,751 hit

# 28 ページ28

*



朝、教室に入り自席に向かっていると
同時に席を立った人とぶつかってしまった


よく見るとその人は
メガネを外しマスクをつけた

御幸くんでした。





「これ…間違ってたところ直してきたんだけど」

スコアブックを御幸くんに差し出せば


「おっ、わざわざサンキューな」

そう言って微笑み、それを受け取る彼を
私は直視できなくて


「う…ううん、気にしないで?」

視線をそらしたまま自席に戻る



メガネがないだけなのに…

いつも以上に御幸くんにドキドキしてしまう。


昼休みが終わり
お昼を共に過ごしたさっちんたちと別れ
教室に戻ると

御幸くんの姿が見当たらなかった




「…御幸くんは?」


退屈そうに頬杖をつき
窓から外を眺めていた倉持くんに声を掛ける


「アイツは保健室。倒れる前に連れてった」

「…そう、なんだ…」

「心配か?」


俯いていた私に、倉持くんが問えば

私はただただ頷いた



心配にならないわけがない。

第一、御幸くんが風邪を引いたのは私のせいだ。



「んじゃ、放課後、御幸のお迎えよろしくな!」

「えっ?」

「アイツ、無理して練習来るかもしんねぇから
引きずってでも寮に連れて帰ってくれ」







ーーーというわけで

放課後に入ると
私は御幸くんの荷物を持って保健室に向かう


すると、向かいから曽根くんが来るのが見えて
私は顔を隠すように俯いた


曽根くんとは階が違うため
あの時以来、ほとんど会うことはなかったから
時間が経った今でも気まずい…。


そしてすれ違う際

微かに聞こえた声に
身体の体温が一気に下がる




「…許さない」



それは最近なくなったと思っていた
あの紙きれの悪戯と同じ言葉。


振り返れば、もう曽根くんの姿はなく
私は動けなくて
しばらくその場に立ち尽くした



やっと動いてくれた足を運んで
保健室の前に着き、ドアに手を掛けると
中から話し声が聞こえてくる


先生…かな?


そう思ってドアを開けたことに
私は後悔した




「失礼します…みゆっーー!!?」



私の視線の先には
予想もしなかった光景があった



「……A…ちゃん…?!」


私に気付いた御幸くんは目を見開き固まっていて

どういう状況か

その御幸くんに組み敷かれた河合さんは
まるで勝ち誇ったように薄く笑みを浮かべていた


「…何か用?」


河合さんの冷たい視線が突き刺さる


「…あっ…ごめっ…ごめんなさい!!」


私は慌てて保健室を出て
逃げるように屋上まで走った

# 29→←# 27



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (364 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
594人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。