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「おいおい、大丈夫かよ?」
昼休みに入り、学食で昼飯を食べるようとするが
食欲がまるでなく
ぐったりとテーブルに突っ伏する俺に倉持が尋ねる
「すげぇ頭痛ぇ…」
今朝はなんともなかったのに
昼に近付くにつれ酷くなっていく頭痛に
さすがの俺も強がる余力すらなかった
保健室行くか?と珍しく優しい倉持の言葉に
「んー…」と曖昧な返事をしていると
「おっ!!誰かと思いきや!
もっち先輩とメガネ掛けてないとまるで別人の
詐欺師、御幸先輩ではありませんか!!」
タイミング悪く騒がしい沢村に見つかってしまう
つーか、詐欺師じゃねぇよ。
「ん?なんか御幸先輩の顔色が悪いようですが!?」
俺の顔を覗き込んだ沢村が
今は頭に響く声で言って眉をひそめた
「沢村、うるせー!」
倉持は席を立つと
俺の腕を掴み自分の肩へ回して俺を立ち上がらせる
「自分で歩けるって…」
倉持から離れようとすると
足元が少しフラついてしまう
それを見た倉持は再び俺の腕を肩に回した
「テメェは黙って大人しくしてろ!
沢村、お前は俺らの食器片しといてくれ。
俺はコイツを保健室に連れてくからよ」
「は!承知いたしました!」
保健室に着くと
倉持は俺をベッドに放り込む
「放課後また様子見に来るからな」
それだけ言って、あとは先生に任せると
とっとと保健室を出て行った
「御幸くん、レギュラーなんでしょ?
夏の予選近いんだからあまり無理しちゃダメよ」
熱を計り終え、38度近くあった俺は
先生に釘を刺すように言われ
午後の授業は大人しく寝ることになった
最後の授業は体育で、保健室の窓から
グラウンドを走っているクラスメイトたちが見える
その中で運動音痴なAちゃんを
見つけるのは容易いことだ
頑張って必死に走ってはいるものの
運動部の女子に抜かされ
足がもつれそうになっていて
いつ転けてもおかしくない
見てるこっちがハラハラしてしまう
そんなAちゃんが可愛くて
見惚れている間は、頭が痛いのも気にならなかった
「御幸くん、ちょっと先生用事ができたから
出掛けてくるね。放課後入ってお迎え来たらそのまま帰っていいから」
「はーい」
「ただし!今日は部活に行っちゃダメだから!」
そう言うと、先生は保健室から出て行った
そして、しばらくするとまた保健室のドアが開く音がして先生が戻ってきたのかと思ってたら
「…御幸くん?」
カーテンの向こうから女の子の声が聞こえた
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時