キミの一番近くで【御幸一也】 (ページ23)

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# 23 ページ23

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「…んっ…あつ、い…」

身体の熱さに、目が覚めた私は
重い身体をゆっくり起こす

あれ…？
私、いつの間にベッドで寝てたんだろ…。

まだちゃんと覚めてないぼんやりとした頭で
記憶を辿っていく

鍵を開けて玄関まで入ったまでは覚えてる

その後、なんだか目眩がして…

思い出しながら視線をあちこちに向けていると

「…っ！！？な、なんで…？？」

ここに居るはずのない、御幸くんが
床に座り頭だけベッドに伏せて眠っていた

御幸くんには「迷惑」だと帰されて
正直、気まずい上に
河合さんに対して後ろめさを感じてしまう

なのに、気持ちとは裏腹に
私は無意識のうちに手を伸ばし
御幸くんの髪に触れていた

あ、サラサラしてる…

それに普段からは想像もできなかった
可愛らしい幼い寝顔

もう少しだけ…と顔を近づけ覗き込んだ途端
パチっと瞼が開き、視線がぶつかる

「…あれ？Aちゃん…って、今何時！！？」

「えっと…１時過ぎ…だね」

勢いよく顔を上げて時計を探すように部屋を見渡す御幸くんに時刻を告げると

御幸くんは深く息を吐き、肩を落とした

「さすがにもう戻れねぇか…。
悪いんだけど、泊めてくんねぇかな？
つい、寝過ごしちまった」

「いいけど…。あの、なんで御幸くんがここに？」

「心配で様子見に来たんだよ。
Aちゃん、部活中もムリしてたんじゃない？」

御幸くんは何でもお見通しというように
じっと私を見つめる

そんな御幸くんから目をそらすことはできなくて
私は正直に頷いた

「俺がもっと早く気付いて帰らせたらよかったんだけど…。部活終わって様子を見に来たら倒れてて焦ったよ」

…もしかして、あの時の厳しい言葉は
私を大人しく帰らせるため？

それに、心配して家に来て
倒れてる私をこんな時間まで介抱までしてくれて…

「なんで…いつもそこまで、してくれるの？
私、御幸くんに迷惑ばかり掛けて…。
鳴ちゃんに頼まれたから？」

私の質問に、御幸くんは少し目を泳がせてから
少し頬を赤くして笑みを浮かべる

「鳴に頼まれたからじゃないよ。
…今までも全部、俺がAちゃんを守りたいからやってきたこと」

御幸くんの手が私の頬に優しく触れた時

胸が切ないくらいキュッと締め付けられたと同時に
顔の熱が上昇していく

「Aちゃんは鳴の大事な幼なじみで
俺たち野球部のマネージャーだからさ…」

そう言って御幸くんは立ち上がると
足早に寝室を出て行ってしまった