キミの一番近くで【御幸一也】 (ページ21)

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# 21 ページ21

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「お前、いつから気づいてたんだよ？」

ベッドの傍らに座り込み
タオルで深沢の額の汗をそっと拭う御幸に尋ねる

深沢に対してあんな冷てぇ態度とったのは
御幸は深沢が体調悪いことに気づいていたから。

そして、深沢に体調悪いなら帰った方がいい。と
言ったところで「大丈夫。平気」と逆に意地を張られるとわかっていたから。

「昼休みあたりからかな。
Aちゃんさ、熱あるとき奥二重になるらしいぜ？」

鳴が言ってた、と付け足し苦笑する御幸

お前ほどの奴が
そんな風に笑うんじゃねぇよ。

どこか寂し気のある御幸の笑みに
俺は何を言ってやればいいか、わからなかった

ムカつくほどいつも余裕そうな顔してるくせに
深沢と成宮のことになると
まるで別人のように小さくなる

「…言っとくけど
俺は深沢に恋愛感情はねぇからな」

「…そっか。悪ぃな、勝手に勘違いして」

「もう気にしてねぇよ」

はっきり言ったら
深沢は特別美人ってわけでもなく
すげぇスタイルがいいわけでもない。

それでも深沢に男が寄ってくるのは

周りをよく見てて、気遣い上手で
纏うオーラがなんだかほわほわしてて
そんな深沢の存在に癒されるからだろう。

「つーか、とっとと告っちまえよ！」

「はぁ！？急になんだよ？！」

急にじゃねぇ。

御幸が深沢に好意を抱いてると気付いた1年前から
ずっと思っていたことを今初めて口に出しただけだ

「ウジウジしてるお前見てると
こっちはイライラしてくんだよ！」

「ウジウジなんかしてねぇって！」

俺の発言に御幸はムッと眉間にシワを寄せた

「じゃあ、なんで告らねぇんだよ？
ぶっちゃけ、お前ら両想いだろ？」

御幸が他の女子と話してる光景見たときの深沢の表情はあからさまに不安そうに曇ってる

恋愛経験のない俺が見てもわかる

深沢は御幸のことが好きだってこと。

「お前が言うと、そうなのかもしんねぇって思うけどさ」

「…けど、なんだよ？」

「Aちゃん自身はそれに気付いてないかもな」

「………は？」

まさかの発言に、腑抜けた声を漏らしてしまう

「Aちゃんは、他人のことには大体わかるくせに自分のことは全然なんだよ」

「…つまり、深沢は自分が御幸のことが好きだって気持ちに気づいてないってことか？」

すると、御幸は力なく笑って頷いた

「それに、何より鳴の存在が大きすぎる…
俺なんかよりAちゃんのことわかってる鳴の方がお似合いだよ」