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# 03 ページ3

*



「いいから黙って俺に従えばいいんだよ!」


そう言って近づいてくる曽根くんから顔をそらせば
顎を掴まれ、顔を向け直されてしまう


このままじゃ、キスされるっ…!!


ぎゅっと瞼をキツく閉じた時だった



「あっ!危なーい!!」


不意に降ってきた声と共に
べちゃっと曽根くんの頭に濡れ雑巾が落ちてきた


声の主を確認すべく、顔を上げると
御幸くんが窓から顔を覗かせて苦笑いしていた


「何すんだよ!?」


かなり怒った様子の曽根くんがギロリと御幸くんを睨みつけるが


「はっはっはっ!悪ぃ悪ぃ!!」


当の本人はへらっと笑いながら謝ると


「机の落書き消してたら、なんかウチのマネージャー襲ってるのが見えたんでつい…ね?」


さっきまで浮かべていた笑みをスッと消して
冷たい視線で曽根くんを見下ろした


「別に、襲ってなんかっ…」

「じゃあ、彼女を壁に押し付けて何してんの?
Aちゃん震えてるけど」


御幸くんの言葉にハッとした曽根くんは
慌てて私から離れると舌打ちして


「こんな色気の欠片もねぇ女を襲うわけねぇだろ!!」

と、雑巾を地面に叩きつけて中庭から出て行った


曽根くんの姿が消えたことで
張っていた全身の力が一気に抜けて
壁を伝ってへたりと座り込む


こ、怖かったぁ…。



しばらく動けないでいると


「おーい。大丈夫か?」


さっきまで、3階の教室にいたはずの御幸くんが
駆け寄ってきてくれた


「うん、大丈夫。ありがとう」


お礼を言うと
御幸くんは私の隣に座り込んでフッと息を吐く


「いやー、マジ焦ったわ。
倉持に描かれた落書き消しててふと窓覗いたら
Aちゃんが迫れてんだもん」

「あはは、私もビックリした…」



抗おうとしてもビクともしなかった。

男の子ってあんなに力強いんだ…



「手首、腫れてる…」


御幸くんに指摘されて、手首を見ると
強く握られていたせいで赤く腫れていた


「ごめん。もっと早く気付いたら良かった」


御幸くんは壊れ物に触れるように
そっと私の手首を撫でる


「ぇえ!?なんで御幸くんが謝るの?
御幸くんが助けてくれたお陰で、キスされずに済んだから。本当にありがとう」


もう一度お礼を言って笑ってみせると
御幸くんは少し頬を赤くして
私から目を逸らしたかと思えばいきなり立ち上がった


「さて。保健室行って、冷やすもの貰わないとな」


そう言って振り返った御幸くんに差し伸べられた手を握るとグイッと勢いよく引かれた

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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