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*



練習が終わると
俺は足早に泥だらけの練習着を脱いで
シャワーを浴び汗を流す


そしてジャージに着替えて脱衣所を出ると
腕組みした倉持が壁にもたれていて

俺に気づくと、こちらに足を運ぶ



「そんなに急いで、どこ行くつもりだよ?」

「別に、汗が気持ち悪かったから早く着替えたかっただけだけど?」


そう言うと、倉持は眉間にシワを寄せて俺を睨む


「お前、自分が素直になれないからって
深沢に当たるのやめろ」

「…何のことだか?」

「テメェっ…とぼけんのもいい加減にしろよ!?」


目じりを険しく吊り上げた倉持が
俺の胸ぐらを掴んだ


「お前が深沢のこと避けてんのはわかってんだよ!
お前らの間で何があったのかは知らねぇけど
さっきのはちと言い過ぎじゃねーのか?!」



倉持の言う、“ さっきの ” とは
俺がAちゃんを帰らすために言った言葉のことだろう

それはAちゃんが帰った後
ゾノにも言い過ぎだと煩いくらい怒られた



「あーでも言わないと大人しく帰らないんだから仕方ねぇだろ?」

「はぁ?」


首を傾げる倉持の横を過ぎようとする俺に
倉持は「待てよ!」と俺を止める


「どういう意味だよ?」

「知りたいなら、ついて来れば?」


それだけ言って再び歩き出す俺の後ろを
怪訝そうな表情のままついてくる倉持


途中、コンビニに寄って必要なものを買って

着いた先は
寮から10分も掛からない場所にあるアパートの2階



「ここって…」

「そ。Aちゃんが住んでる部屋」


そう言いながらインターホンを押すけど
Aちゃんの声は一向に聞こえてこない


寝てんのかな?

それともまさかっーー!!?


倉持と顔を合わせ
嫌な予感が脳裏を過ぎり、俺はドアに手を掛ける


すると鍵は掛けられてなくて
ドアはすんなりと開き

玄関を入ってすぐの床の上には
無造作に置かれたカバンと
制服のままAちゃんが倒れていた


「Aちゃん!!」

「ふっ、深沢!!おい!どーした!!?」


慌てて駆け寄りAちゃんを抱き上げると
身体のあまりの熱さに冷静さを失いかける


「倉持!氷用意して!!」

「お、おう!!」


倉持は「お邪魔します」と一言添えて部屋に上がる


そして俺はAちゃんをベッドに運んだ



「んっ…」


気が付いたのか
薄っすら開かれたAちゃんの瞳が俺を映す



「めい、ちゃん…?」


鳴の名前を呟くとAちゃんは小さく笑って
またゆっくり瞼を閉じてしまった

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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