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「宿題、手伝ってくれたお礼だってさ」
倉持くんは亮介さんに呼び出され
苺ミルクを御幸くんに託し行ってしまったらしい
「わぁ!ありがとう!」
お礼を言って苺ミルクに手を伸ばすと
ヒョイっと苺ミルクは高く上がり私の手から離れる
「…あの、御幸くん?」
「さっき何見てたのか、教えてくれたらあげる」
御幸くんは意地悪に笑って私を見下ろした
「卑怯だよ!」
「ははっ!なんとでも言え!
白状するまでコレはお預けだからな?」
苺ミルクを揺らし煽ってくる御幸くんに
ムッと眉間にシワが寄る
今日の御幸くんは意地が悪く、しつこい。
苺ミルクをエサにするなんて…!
だったら
「…要らない!」
「は?」
「苺ミルク要らないから、教えない!」
そう言いながら席を立ち、教室から出ようとすると
御幸くんに手首を掴まれ阻止されてしまう
「だから要らないって…」
「鳴になら…。ここに居るのが俺じゃなくて
鳴だったら、相談した?…俺じゃ頼りない?」
いつもの余裕のある笑みは消えてしまい
いつになく真剣で
だけど、どこか寂しそうな瞳をさせる御幸くん
なんでそんな表情するの…?
御幸くんがわからない。
今どんな気持ちで、私をその瞳に映しているのか
どうして鳴ちゃんと自分を比べているのか
一つだけ、わかることといえば
今、御幸くんをこんな風にしちゃってる原因は
自分にあるということ
「なんで…鳴ちゃんが出てくるの…?」
言葉を紡ぐ術を忘れかけていた私にとって
これが精一杯の返答だった
「Aちゃんにとって鳴は特別な存在だろ?」
少し視線を俯かせ、御幸くんは問う
「 “ 特別な存在 ” というのがどういう存在なのか
具体的にはよくわからないけど
鳴ちゃんは大切な幼なじみだよ」
時には弟みたいで
時には引っ張ってくれる兄みたいな…
兄弟のいない私にとって鳴ちゃんは
それ以上でもそれ以下でもない
大切な兄弟みたいな幼なじみ
「幼なじみ…」
「うん」
「…じゃあ、俺は?」
「え?」
「俺は、Aちゃんにとってどんな存在?」
私にとって、御幸くんは…
「御幸、深沢!お前ら何やってんだよ?」
教室に戻ってきた倉持くんに声を掛けられ
御幸くんの私の手首を掴んでいた手が離れる
「あ、倉持くん。おかえりなさい」
「おう!つーか、お前ら目立ってるけど?」
倉持くんの言葉でハッとし、見渡すと
クラスメイトが私たちを見てヒソヒソ話していた
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時