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# 01 ページ1

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「ねぇ?Aはもちろん稲実受けるんだろ?」



中学3年の秋


塾の宿題とにらめっこしてる私に
自分の部屋の如く漫画を読みながらくつろいでいる鳴ちゃんが口を開いた


「うん。特別行きたいところないから…」

「じゃあさ、野球部のマネージャーやってよ?
絶対甲子園連れてってあげるからさ!!」


俺が目をつけた奴集めて最強チーム作ってるからさ
甲子園なんて夢じゃない!!


と、目を輝かせて楽しそうにしている鳴ちゃんを見て私もつられて笑顔になる



鳴ちゃんは物心ついた時からずっと隣にいて
優柔不断な私をいつも引っ張ってくれる幼なじみだ


自分の選択に自信のない私は
幼い頃から彼の背中を追いかけてばかりいる


そして今も
そんな自分を変えることができないでいた。




だけど、あの人の一言で

私は自分を変える第一歩を踏み出すことができたんだ




「これから俺が目をつけたメンツが集まるから
Aもおいで!」

鳴ちゃんに手を引かれて
半ば強制的に連れてこられた公園には

カルロスくん、白河くん、山岡くん、矢部くんの
ちょっぴりクセのありそうな人たちが集まっていて



「おいおい、すごいメンツが揃ってるなー」


一足遅れて鳴ちゃんが特別視してる
江戸川シニアの御幸くんもやって来た


そして、御幸くんはこの場にいるメンバーを一人一人見てから私と目が合う


「へぇー、Aちゃんもいるんだ!」


御幸くんとは鳴ちゃんの紹介で一度挨拶した程度の面識だったから名前を覚えてもらえていたことに
ドキッと一瞬胸が高鳴った


「こいつら全部お前が集めたのか?鳴…」

「そっ!あとは一也。お前が来てくれたら
俺の理想のチームができる」



一緒に最強チーム作ろうよ?と言う鳴ちゃんの誘いに御幸くんは首の後ろに手を当てて言う



「悪ぃけど、俺ずっと前から青道に誘われてんだよね。その話には乗れねぇな」


「はぁ!?何言ってんだお前!」


御幸くんの発言に矢部くんが声を上げた



「こんなすげぇメンツが集まるチームなんだろ?
稲城実業って。だったら、余計に戦ってみたくなる」


思いも寄らない御幸くんの言葉で空気が一気に固まり同時に私の心臓も大きく跳ねた


念を押すように、鳴ちゃんがもう一度聞こうとすれば

御幸くんは「ごめん。無理」と
どこまでも真っ直ぐな瞳で答える



そんな彼を近くで見てみたいと思った時には


「わっ、私も!やっぱり…青道に行きます!!」


手を挙げて断言していた

# 02→



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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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