、 ページ10
(どこだろ、ここ。何も、ない)
気がつくと真っ黒な空間にぽつんと独りだけそこに立っていた。
辺りを見回しても、歩いてみても真っ黒で光を通さない空間が続いているだけだった。
(何か、くる...)
身構えていると足元にもやが纏わりついてきた。
振り払おうとしてもがくも、意味をなさなかった。
「...い。...体、頂戴!」
「.....。...!起きろ!A!」
「、ディーノ」
頭が痛い。変な夢を見ていた気がする。
だが、夢の内容は霧がかかったようになにも思い出せない。
「魘されてたみたいだけど、大丈夫か?」
ディーノが心配そうに声をかけてきた。
「...うん。大丈夫。変な夢を見てただけだから」
汗をかいていたみたいだ。
髪や服が体に張り付いて気持ち悪い。
「...湖に行ってくる」
何もかも洗い流してしまいたかった。
_______________
今日の朝ごはん(寝坊したためほとんど昼ごはん)は、パンに野菜と昨日狩ることができた牛鹿をスライスした燻製を挟んだものだ。所詮サンドイッチである。
そのままでも美味しいが牛鹿にちょっと塩を振るだけで味が豊かになる。
当たり前のことだが。
「んまい」
ディーノが食べ物が入った状態で口をもごもごさせながら言った。
「ふふん。当たり前でしょ」
Aは自慢げにそう言い、サンドイッチを頬張る。
ディーノがサンドイッチをごくんと飲み込んでから神妙な顔つきで口を開いた。
「Aが俺より起きるのが遅いのって珍しいよな。
っていうか初めてか?
Aが寝てる時にA意外の気配を感じたけど、本当に大丈夫なのか?」
Aは顎に手をあててうーんと唸った。
「さっきも言ったけど、変な夢を見たんだよね。でもどんな夢を見ていたのか思い出せない。」
「ずっと苦しそうだったけど」
「悪夢を見ていたのかな...」
...何かあったらすぐに言えよ。とディーノは言ってその話は終わった。
___________
「さて、今日はどこに行きますか」
いつも通り、宛のない旅を続けるためにA達は宿を出た。
「南の方で魔物が凶暴化して手がつけられないんですって。村が二つも無くなってしまったそうよ」
「まあ、怖いわー。私達の街は安全かしら?」
どうやら街のおばさん達が井戸端会議をしているようだ。
聞き耳を立てるつもりはなかったが聞こえてしまったものはしょうがない。
文字数ーー
35人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ごまのサブ - ユリウスさん» 照れますな (12月30日 19時) (レス) @page13 id: 9ddf1ae992 (このIDを非表示/違反報告)
ユリウス(プロフ) - めっちゃおもろいっす!! (12月29日 23時) (レス) id: 2342ffa3f9 (このIDを非表示/違反報告)
ごまだんご(プロフ) - きぬ田さん» うわあああありがとうございます!!!私もきぬ田さんの作品見てます!!実は話の構成に自信なかったんですけど同じ夢小説書いてる人に面白いって言われるの本当に嬉しいです!お互い頑張りましょう!!! (12月7日 21時) (レス) id: ac87693953 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ田(プロフ) - ええぇぇぇめっちゃ面白いです!見つけた時は心の中で発狂してました笑高校受験も頑張ってください!私もディーノ夢を書いているのですが、同じ年代の…況してやこんなに文才があり過ぎる方も書いていただなんて嬉しすぎます!これからも陰ながら応援させていただきます (12月7日 18時) (レス) id: f1e01a76a5 (このIDを非表示/違反報告)
ごまのサブ - SOMA205さん» そりゃよかったでござんす (12月6日 17時) (レス) @page3 id: deac972eca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ごまだんご | 作成日時:2023年12月4日 0時