*Rhapsody of Ice『2』*【氷浦貴利名】 (ページ10)

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Episode40* ページ10

『野坂君……！なんなの、さっきの試合！』

王帝の皆の冷ややかな視線を集めた。

自分でもこんなに大きな声が出るなんて…

と驚いたが、それほど今の私は怒りで震えていた。

野坂「……勝つためなら。」

野坂君がこちらへゆっくりと近付いてくる。

そして私の前に立つ。

野坂「勝つためなら手段を選ばない。

それが僕……野坂悠馬のやり方だ。」

吐き捨てるようにそう言い切る

野坂君の瞳は曇っているように思えた。

『私の知ってる野坂君はこんなことしない。』

野坂「君には分からないよ。」

『分かるよ！！！』

野坂君が驚いた表情を浮かべた。

私はそのまま野坂君を真っ直ぐ見つめ、向き合った。

今度は目を逸らさず、逃げないように。

『今の野坂くんは昔の私に似てるって思ってたよ。

やりたいようにやりたいのに…

思うように出来ない。

何かに縛り付けられているみたいに。

でも…病院で一緒にサッカーやってた時さ、

野坂君キラキラしてたよ。

心からサッカー楽しめてたよ。

私……私が見たいのは今の野坂君じゃないよ！』

感情的になってしまった自分にハッとする。

気がつけば注目の的と化していた。

野坂「…………A。」

何か言いたげな表情を浮かべる野坂君。

しかし試合の後半が迫ってきている。

『…部外者が偉そうにごめんね。』

私は足早に野坂君の前から立ち去った。

野坂「…………僕は、

一体何を…………？」

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