BLUE in BLUE Vol.9

＜421＞ ページ22

*ryu’s eyes*



「わりぃ。やっぱムリ」

前に葉月を抱いた屋上の死角のスペースで、オレは葉月の肩を押さえてつぶやいた。


さっきから葉月が必死にオレの身体をまさぐっていた。






Aに聞かれていた。


おう、やり直そうぜ


葉月への冗談のつもりだったけど、おかしなところで言葉をとぎらせてしまった。たぶん、Aはオレと葉月がよりを戻したと思っただろう。顔を真っ青にして走り去った。



それから夕方まで自分がここでなにをしていたのか、全く記憶がない。怖いくらいだった。

うとうとしたり、海を眺めたり、ぼんやりしたりを繰り返していたのだと思う。その間じゅうたぶん、間違いなく頭のど真ん中にAがいた。



放課後になり、葉月が再び現れた。

葉月に抱えられるようにしながらここに移動してすぐに、葉月が顔を近づけてきたけど…顔をそむけていた。



この期に及んでまだAに義理だてしてんのか、オレ。

やっちゃえばいいじゃん。やらしてくれるって言ってんだから。


昔のオレだったら平気でやってるとこなのに。



もう以前のオレとは違う。


Aがオレを変えた。





オレの身体は葉月の奮闘にもピクリとも反応しなかった。

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