先生とぼく (ページ15)

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視線が痛い。
見ないで、こんな俺の事。
見ないで、こんな情けない俺のことなんか。

キャーって黄色い歓声も全て苦しい。
やめてよ、騒がないで。

俺はそんな大した人間じゃないんだ。
根暗で人と関わることが苦手で、注目されることだって得意じゃないんだ。

みんなが見ている俺は俺じゃない。
キラキラなんてしていない。
明るくなんてない。
太陽みたいな笑顔だって全部虚像だ。

こんなこと言ったらどう思われる？
みんな俺の事嫌いになるでしょう？
みんな俺から離れていくでしょう？

嘘をつき続けるのも苦しい。
だけど、本当の姿を見せて1人になるのも嫌なんだ。
どっちも選べない。
だって、どっちも怖いから。

「久しぶり薮。体調は大丈夫？」

ねえ、あんただってそうでしょ？
どうせ俺のこと嫌いになるんでしょ？
キラキラしてる俺だから気にかけてるだけでしょ？

担任との面談。
マネージャーにしつこく説得されて
渋々面談のために学校に来た。

何も答えない俺に痺れを切らしたのか担任は教室を出ていってしまった。

ああ、ほら、やっぱり。

なんで俺、こんなに面倒な性格なんだろう。
どうしてもっと上手く人と関われないんだろう。
どうして…なんでなの…。

「薮！？どうしたの！？」

「へ……」

誰もいなくなったはずの教室。
さっき出ていったはずの担任が俺の顔を覗き込んでオロオロとしている。

「なんで…」

「え、なんでって？」

「もう、めんだん…おわったとおもった…」

「ええ！？始まってもないよ！
ちょっと廊下がうるさかったから注意しに行っただけだよ？」

なんだ…。
俺に呆れて出ていったんじゃなかったんだ…。

「それよりどうしたの。」

「なにが…？」

「なにがじゃないでしょ。泣いてる。」

…泣いてる？
どうして？
なんで泣いてるの、俺。

戸惑っていると担任は優しく涙を拭ってくれた。

「我慢してたんでしょ？
いっぱい泣いていいから。嫌なもの全部吐き出しちゃいな。」

なんだよそれ。
どうせ俺の事なんか何とも思ってないくせに。
優しくすんなよ。
なんで泣いてるんだよ俺も。
面倒な奴って思われるだけなのに。
なのに…

「うわああっ」

「うん、よく頑張ってるよ。偉いな。」

助けて。

…助けてください。