検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:11,969 hit

一章 芹沢鴨という男 ページ2

*

 土方歳三は、武州多摩郡石田村の農家の三男坊である。
 師匠は天然理心流近藤周助が養子の勇を初め、同門の沖田総司、山南敬助、井上源三郎、それに他流ながら友人の永倉新八、藤堂平助、原田左之助と共に、公儀肝煎(きもいり)による浪士団に応募したのが、文久二年の暮れのことである。
 時に、土方二十八歳のことだった。

 徴募された隊士一同が、初の顔合わせをしたのが、翌年文久三年二月四日である。
 会合は、小石川伝通院内の処静院で行われた。
 その場所で土方は、その男(、、、)を初めて見た。

 この時幕府の手で徴募された浪士は、二百三十四人。
 隊名は、世話人清川八郎の発案により浪士隊と名付けられた。
 後に、新徴組と云う。

 役目は、京にある将軍を守護するというのであったが、風聞では、当節京で治安や情勢を脅かしている尊攘浪人を刀槍で狩りとるのだとも云う。
 武功の次第では、旗本に取り立てられるという噂もあり、江戸府内では鳴らした剣客、慷慨の士が集まっていたが、中には、兇状持ちの博徒やその用心棒など、札付きの如何わしい者も混じっていた。

 処静院に於ける初顔合わせは、酷く寒い日で、場所は方丈百畳敷の間。
 公儀からは、浪人奉公や浪人取締役などのそこそこ重役とでも云うべき人物が臨席した。

 一座の世話は清川が取り仕切り、会合の進行や周旋は清川の息がかかっている者二人が担当した。

 やがて、浪人奉公の重役の訓辞が行われ、それが終わるとそれぞれ平等に支度金が手渡され、昼食が出た。
 折詰に、酒がついている。
 この時初めて清川が末座にまわり、「では、ゆるりとご歓談なし下さいよ」とだけ云って、上座に戻った。
 その後進行係の二人が席々をまわり、「互いに初めて見るお顔が多い。この機会に、隔意を去り、胸襟を開く仲になって頂きたい」と周旋して回った。

***→←序章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
38人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 斎藤一 , 藤堂平助
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Chris(プロフ) - ファーストMeさん» わーいありがとうございます! こっちの作品も神様ネタありますから、待ってて下さい! (。>ω<。)ノ (2017年6月15日 13時) (レス) id: c0c9efb09c (このIDを非表示/違反報告)
ファーストMe - “刀と共に生きてきました”から来ました!この作品も凄く良かったです!!更新待ってます!! (2017年6月15日 13時) (レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2017年5月23日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。