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「……A？」
確かめるような響きを持つ声にAは顔を上げた。
僅かな月光照らされ、ダリューンが不思議そうな顔をしてこちらへと近付いて来るのが見える。
場所は王宮の中庭の、Aの一番のお気に入りの場所。
庭の端にぽっかりと開けたその場所は周囲に茂みが重なり、ちょっとした隠れ家だ。
その中で膝を抱えるAを見下ろし、ダリューンが息を吐く。
「A」
「……なぜ、ここにいらっしゃるんですか兄上様」
「叔父上と何かあったか」
沈んだ声を無視し、ダリューンが丸くなるAと視線を合わせる。
それを見上げ、Aは肩を落とす。
「……父上様に何か言われましたか？」
「おぬしが気を落としているから話してやれと、昼間言われてな。ずっと探していた」
「私は元気です」
「そんなむくれた顔をして何が元気だ」
ぺちぺちと頬を軽く叩かれる。
剣を握る手は硬く、その感触に自分の手を握る。……まるで、程遠い。
「どうして、ここがわかったのですか？」
心なしか更に沈んだ声にダリューンが眉を上げる。
彼より一回りも年下の少女は普段、その年に似合わないほどの落ち着きを見せる。
しかし、限られたごく一部の親しい人間にはひどく脆い部分を見せるのだ。
強さとも弱さとも言えぬ、ひどく脆いもの。
まさに今、彼女はその状態だった。
常に王太子の侍女として、大将軍の養女として気を張り詰めているせいか、たまにひどく苦しそうな時がある。
しかし、今夜のこれは、それではない。
「A……顔を上げろ」
「嫌です」
「どうしてだ」
「……きっと、ひどい顔をしていますもの」
無力感と、自己嫌悪。
その他諸々の言葉にならない感情に胸の中はぐちゃぐちゃだ。
自分でもどうしたら良いのかわからないのに、これ以上の醜態は見せたくない。
ダリューンの言葉を拒むように身体を縮める。
頭上で小さな溜め息が吐かれ、ダリューンが立ち上がる。
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瑪瑙(プロフ) - カエデさん» お返事が遅くなり申し訳ありません！そう言っていただけてとても嬉しいです(^^) ありがとうございます！！ (2018年1月6日 13時) (
レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - とても読みやすくて面白かったです！これからも読ませて頂きます！頑張ってくださいd('∀'*) (2018年1月4日 12時) (レス) id: f2c692053c (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - あんばーるさん» コメントありがとうございます！気付いたらいつの間にかダリューンの物語ができていました…笑 少しずつ更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m (2017年9月1日 13時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
あんばーる - アルスラーン戦記好きな者です！ すごく素敵なお話しでした！ダリューン沼は深いのではまっちゃいますよね(*´∀｀) (2017年9月1日 2時) (レス) id: 212817a7b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作成日時：2017年6月21日 22時
