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入って来たのは、夕方勤務を終えた櫻井だった。




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「あ、翔ちゃんっ」


おつかれ、と相葉が顔を綻ばせると、櫻井はにこりと労いの笑みを見せる。



「ごめんねえ、今日。夕方忙しくてさ…客室行かせちゃって。なんにも特別なことなかった?」



櫻井の顔を覗き込みながら、相葉が言った。

松本も、しっかりとした笑みを櫻井に見せて、「おつかれ」と言う。


櫻井は、低い机の上と、ロッカーのサイドに視線をきょろきょろと泳がせて

右手にペンを、左手に紙をもつ動作をして、口の形だけで、「ない?」と聞いた。


「ああ、あれ?紙とペンどこいった?」


着替えが済まないまま、松本は座布団をめくったり、雑誌を持ち上げたりする。

すると相葉が、あっと声を上げた。


「あーゴメンっ、急だったからさ、ここにあったやつ、離れのお客様に持ってったんだった!あれ翔ちゃんのペンだったのに……ごめん!」



櫻井の目の前に回って、ぱん、と手を合わせる。

その大げさな動作に、櫻井は苦笑し、相葉の手を取った。



【どうりで書きやすいと思った】



手のひらに、ささっと書かれた言葉。ひさしぶりにこうして会話をしたので、相葉はくすぐったいような気持ちになる。



「あは…、どうりで書きやすい…、そうだよねえ」



えへへ、ごめーん、と語尾を伸ばした、軽い謝罪の言葉。

櫻井は、じっと相葉の口元を見て、ふ、と息を漏らして笑ってから


こつ、と相葉の額を指先で叩く。



「イテっ…ごめんって!もー…翔ちゃんのコレ、まじで痛いんだからさあ…」



顔を顰めながら、それでも幸せそうな声を漏らしていた。



「なあ、翔さん、離れのお客様ってどんな人?俺の愛情まみれのお夕食を残しやがった!」



松本が、いーっと少年のように、鼻の頭に皺を寄せて言う。

乱暴な物言いなのに、ちゃんと、お客様、お夕食、と言うのが、かわいらしく好ましかった。


「まつじゅーん。離れのお客様はねえ、養生で来てるんだよー」

「養生?」

「そ。松潤だってさあぎゅってしんどくなってご飯が喉を通らなくなるときあるでしょ〜」

「え、そうなの?」



松本の、素直な瞳が、櫻井のほうを向く。

櫻井は、松本の手を取った。



【おいしい味がすると思うのに、ごめんなさいって】



あっと見開かれた目が、きらきらとしていた。


櫻井は、素直で熱心な松本のことを、弟のようにかわいらしく思っている。




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きんにく(プロフ) - 律さん» 律さん!こちらにも来ていただいて本当に幸せです〜ありがとうございます(泣)ご期待に添えるようなお話が書けたらなと思います! (2021年1月8日 11時) (レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - はるさん» はるさんはじめまして!お越しいただき誠にありがとうございます。そんなふうに言ってもらえて幸せです♪がんばります! (2021年1月8日 11時) (レス) id: d7e5080941 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - やっぱりきんにくさんの小説が大好きです!癒しです!続き楽しみにしてます! (2021年1月6日 19時) (レス) id: 820f2de8f4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きんにくさん、初めまして。素敵なお話ありがとうございます。これからも楽しみにしています。 (2021年1月6日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - satominさん» satominさんありがとうございます♪毎度毎度、恐縮でございます。おおお…私が読んでる本は暗くて長くて素敵な本です(笑)その人たちみたいに書けたらなあと思いながらなかなか…な日々です(笑)嬉しいことを聞いてくださってありがとうございました♪ (2020年12月28日 23時) (レス) id: 3c003d42b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きんにく | 作成日時:2020年10月19日 16時

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