主から兄 ページ31
.
「おはようございます、日和坊っちゃま」
「おはよう。A元気になったんだね、いい日和!」
朝、仕事前の日和坊っちゃまを迎えに来た。
…やはり、変化によく気づくお方だ
肌寒い季節になってきた頃、初ライブの予定ができたと聞き、今日はそのライブのリハーサル
「今日は生歌で通すそうですが、喉の調子いかがですか?」
「ん〜!完璧だね!」
「ではこのまま向かいましょう」
そう伝え、歩き出そうとするも、一向に日和坊っちゃまは足を進めない。
「日和坊っちゃま?」
「僕はAと出会って10年、ずっと君の笑顔が見たいと思って多くのことをしてきたね。」
でも、と日和坊っちゃまは言葉を続けた。
その瞳は僅かに潤んでいて、何かを決心した目だった。
「君の感情を容易く引き出すのは…茨しかいないね。」
「っそんなことは!」
「僕はAに自由になってほしかったはずなのに、縛っていたのは僕だったね」
「…ですが、私の手をあの場から引いてくれたのは日和坊っちゃまでしょう…?」
「僕の役目はそこでおしまいってことだったね。…その先は彼じゃないとできないことだってハッキリわかったね」
いつものように、温かい手で私の頭を優しく撫でる。
私に衣食住を与え、学問や体術を教え、いつ散るか分からなかった命をここまで繋いでくれた。
妹のようにいつも可愛がってくれた。
「私の兄は…日和お兄様だけです。兄妹にしか相談できない悩みも出てくると思います。そんな時聞いてくれるのはお兄様しかいないです、」
本当は貴方を兄様と、ずっと呼びたかった。
ずっと、甘えてみたかった。
「A!うわあああん!なんで今そんなこと言うの!悪い日和ー!!」
「ぼ、…お兄様!!申し訳ございません!」
「甘えてこなかったら、許さないね!」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年9月21日 22時


お気に入り作者に追加


