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「Aさん」

「はい」

「助かりました。ありがとうございます」



騒ぎの中、警備員が到着しそのまま男を受け渡した。
少し事情聴取で私と茨様が呼び出され、レコーディングの時間を過ぎてしまった。

事情が事情だから、と許されたが。



「まさか茨様とアイコンタクト取れるとは」

「互いにやってきたことは同じということですな!...というより茨様ってやめてもらえます?茨で結構ですと以前も言った気が」

「そんなに嫌なら辞めますけど...茨って呼び捨てにするのは違和感ありますね」

「ですかね?では自分も僭越ながらA、と呼び捨てさせていただきます。これでどうでしょう?」

「...じゃあ、それで。」



名前呼びされた事が嬉しくて少しだけ照れくさくなった。
今はまだ出会って時間が経っていないけど、なんだかこの人の事もっとよく知りたいと思える。

日和坊っちゃまは大好きだけど、またそれとは違う素の自分が出せるような存在。



...って、なんだこれ、
日和坊っちゃま以外の人間で自分がここまで他人のこと考えるなんて今まで無かったはず



「A?どうかしました?」

「いや、なんか変な感じで...なんですかね、この違和感」

「何か良からぬ事が起きるんですかね。いやはや...心配でありますな」

「周りには十分注意を払います。」

「頼みました」



茨も、他の人と話す時は基本営業スマイルというやつなのに私と話す時はまるで違う人のようだ。
この違和感は何なんだろうか、

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作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年9月21日 22時

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