別れ(過去編) ページ3
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その日のうちの出来事だった。
なんだかよく分からない紙切れの束を大人が見合い、
旦那様と呼ばれるやつは私の頭に手を置いた。
元帥に荷物を纏めて、こちらへまた来なさい、と言われ指示に従う。
...荷物なんて、あってないようなものだ。
小さな袋一つだけ持って先程の部屋の前で立ち止まった。
「A」
「クソ教官...殿」
「てめぇは言うこと聞かねぇクソガキだったが、可愛いやつだったな。」
「うげぇ、きも」
「上司にそんな口を聞くな」
ベーと舌を出せばいつもは腕立て追加とか鬼のくせに、今日は寂しそうに笑っていた。
...不思議に思いながら部屋へと入った。
「準備はできたかい?Aさん」
「僕がお兄さんだからね!手を繋いであげるね!」
「日和、離さないであげてね」
「わかってるね!」
自分より少し背の高い日和、と呼ばれる彼に手を握られる。
体温が高いのか温かく、なんだか抵抗する気も起きなかった。
「A」
「元帥殿...?」
「幸せになりなさい。」
小さく手を挙げる元帥から目が逸らせないまま、
日和に手を引かれた。
急なことに全く頭がついていかない。
ここを出ていくのか、一体どこに行くのか。
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作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年9月21日 22時