お姫様抱っこは厳禁 ページ16
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｢ふふ、大変失礼いたしました。ゆっくりお休みくださいまし。｣
｢おわ！！弓弦様！？｣
｢弓弦！｣
気づけばお姫様抱っこというものをされていた。
顔が近い、
椅子に座っていた茨はガタッと大きな音をたてて立ち上がり、弓弦様を睨んでいる。
｢教官殿であっても、我慢出来かねますよ｣
｢おやおや、そんな怖い顔しないでください。｣
優しくソファへ戻された。
流石と言うべきか、その慣れた手つきでブランケットまでかけ戻されてしまう。
……あれぇ、私さっきはっ倒すとか言っといてもう自分が横になってますけど？
｢先程お渡しした資料には目をお通しください。邪魔者は去るとします。｣
｢早く出て行ってください。｣
｢……｣
泣き真似をしながら部屋を出る際、ニコリと微笑まれると同時に茨の視線が刺さった気がした。
いやぁ、あちらを見るのが怖い。
｢…絶対わざとですね。｣
｢え、茨？｣
｢アイツのせいで不愉快です。Aに初めて会った時も手出してきやがって｣
スタスタと横まで来たかと思えば、不機嫌そうな茨の顔が横になっている私の顔を覗くようにしてきた。
そんな表情をしていても美人は美人。
綺麗な顔だなぁ、なんて呑気に考えてしまった。
｢…ダメですよ。気安く触られては。｣
｢なんですか茨。嫉妬ってやつですか？｣
｢うるさいです。もう少し寝ていてください。｣
ひとつ、私の唇にキスを落とすと茨は満足気な表情になった。
意外と単純なんですねぇ。
｢大丈夫です、私には茨だけですから｣
｢……俺もです。｣
優しくトントンと寝かしつけられ、再度夢の世界へと放り込まれた。
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作者名：はなちゃ | 作成日時：2022年10月12日 18時
