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ねえ、私は一体 ページ34

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『_____は、?』

喉から必死に絞り出した声は、自分でも酷く情け無くなる位に掠れていた。


「何、不思議な話でもないだろう?
彼は抑も、ポートマフィアを裏切り、他組織と手を組んだ裏切り者だ。其の目的が何であれ、裏切り者には死を、が黒社会でのお決まり(ルール)だって事は君だって知っている筈だよ。」

『それにしたって、何で急に…っ』


元々、彼から情報は何も聞き出せてはいないと云う事は知っていた。しかし其れは、どんな拷問でも口を割らなかった、と云う訳では無く拷問すら行われてはいなかったのだ。

其れは、彼の異能力の危険性と利便性の故に、拷問如きで彼のような“ 稀な異能力者 ”を壊してしまう事に、無視できない不利益を被る事を森は理解していたから。

だからグレーゾーンとして、彼は今までずっと牢に収容されていた。
なのに、


『_____彼から、何か情報でも聞き出せたんですか』

「全く。
姐さんお気に入りの拷問班でも口を割らなかったから、私も参戦したのだけれど____」


「てんで駄目だったね。私も一応、拷問の腕には自信があったのだけれどねぇ」溜め息と共に吐かれた言葉に、どうしようもなく頭を抱えたくなったし、理解できない自身の頭を思いっきり殴ってしまいたい衝動に駆られた。

何の情報も得られないまま、処刑するなんてそんな前代未聞の命令、益々可笑しい。

だとしたら、此れは森が何か企みの上で彼は邪魔、若しくは取引の交渉のネタとなったと云う可能性だってある。

其処まで考えると、在る一つの考えを思いつき、其れをぽつりと口に出した。


『………だったら、若しかしてあの人は知っていた…?
坂口さんが絡んでる何かに……?』

「_____A、なんで其れを……」

『じゃあ、だったら此れは……』


明らかな動揺を見せた太宰には気付かずに、呟き続ける。思考に入る。
考える事に夢中で、気付くことが出来なかった。


−−−無意識に、彼を殺さずに済む結果を探し続けている事に。



「−−−A、手前のその利口な頭でどんなに考えようが、命令に変更はねェ。

殺せ、其奴を。」


冷徹なその言葉に、頰を打たれたかのような衝撃を感じた。




.

どうしたらいいの→←想像していなかった 。



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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y(プロフ) - まだ、見てます。こんなに端麗な日本語で綴られた物語を書ける方、中々いないです。最高の作品です。どうか、いつか続きが読めることを願っています (2月26日 19時) (レス) @page38 id: 02477a501f (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 何周も見てるけどやっぱ飽きないし面白いです!!更新待ってます!!!!!() (2022年11月15日 14時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
おみず - お、おわり……??続きがまた見たいです……この先でも活躍するんだろう夢主ちゃん見たいです……!!! (2022年11月10日 23時) (レス) @page38 id: 0c3a3b3097 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫ニサナ - 更新待ってます!! (2022年3月14日 22時) (レス) @page38 id: 1c42f0d3fc (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、待ってめっちゃ好き。続き気になる…!更新待ってます、頑張ってください!! (2022年2月1日 17時) (レス) @page38 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪原 ゆずき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2016年8月4日 13時

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