LOVE ME LOVE ME

▽ ページ9

・

｢Aヌナ、よく噛んで食べてね。｣

｢だからダイエット中なんだってば！！｣




ドラマや映画のヒロインって、キラキラしてる。




｢そーゆーの、なんて言うか知ってる？｣

｢え？えーっと...乙女心？｣




最初は地味で目立たなくても

どれだけ手強いライバルが現れても




｢ぶー。残念ハズレ。正解は無駄な努力。｣

｢なんだと！？｣




可愛い服を着て、素敵な靴を履いて

綺麗なアクセサリーで飾ったら



最後には必ず、キラキラ輝いてるでしょ？




｢そんな努力しなくてもAヌナは可愛いから。
とかサラッと言っちゃう俺、彼氏にどう？｣

｢ううん、いいや。遠慮しとく。｣




誰が見ても素敵な

誰もが羨む、王子様の隣で。




｢なんでー？フニくんと付き合ったら
本当に世界一の幸せにしてくれそーじゃん。｣

｢バカだなアヤ。だから俺が認めないんだろ？｣

｢いや、別にユンの許可とか要らないし。｣

｢くだらない基準でしか彼氏を選べないヌナに
フニひょんはもったいない。｣

｢聞けよ。｣




いつかきっと、私もなれると思ってた。



話を聞かない生意気な弟の隣で
怒ってんのに優しく笑うアヤのように

10年以上も一緒のふたりにしかわからない、


' いつものことだから ' を見つけたり




｢ハルぅ〜、豚肉さん包んで下さい♪｣

｢はぁ可愛い...たまんなく可愛いっす...｣

｢包んだら食わして下さい♪｣

｢ねーもうなんなの!!ギャップで殺す気なの!？｣




そろそろ1年が経つのに
低い声で甘える赤ちゃんミノの隣で

逆ギレしながら頬を染めるハルちゃんのように

傍から見る ふたりの


' 相変わらずだな ' を作ったり




私も、こんな風になりたい。


身近でくっついた2組のカップルみたいに

大好きな人の隣で、キラキラと輝きたい。



そうなりたくて、オシャレが好きになって

知ってくうちに、その道に興味を持った。



どうしてだか、現実はいつもうまくいかないけど

動機はともあれ、選んだ仕事は天職。



だからあとは、出会いだけじゃない？

この世界に埋もれる私を見つけ出した王子様と


ドラマや映画の中のヒロインのように

運命的な出会いを...




｢あ、ジュンギさん！｣

｢お疲れ様です！偶然ですね！｣

｢おー。お前らも来てたのか。｣




気付いたフニが立ち上がり、ユンが続く。
ハルちゃんは座ったままぺこりと頭を下げる。



もくもく空気の悪い店内に

ふわり...と、爽やかな風が吹いた。

４：Maybe the perfect potato→←３：A bit stupid nuna

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す