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「A。」

「ふざけんな。それは生意気過ぎるでしょ。」

「Aヌナ?」

「まー、それがベストかなー。」

「俺はベストじゃないんだけど。」

「ならフニがもっと別の案 考えなよ。」

「ハニー♡」

「あほっ!!」

「ダーリンって呼んでね♡」

「ぜぇぇぇったい呼ばないっ!!」




半分の月が照らす夜道は、真っ直ぐ家路についた。


手を繋ぎ指も結んでるのに

俺とAヌナは、あんまり変わらない。




「ふにちゃん、寄ってく?」

「え...?」



あんまり変わらないけど、やっぱ全然違うわ。


古アパートの玄関の前に送り届けたら
俺と目を合わさず、そう言ったAヌナは

ぱちぱちと恥ずかしそうに瞬きをして
唇を噛みながら、自分の家のドアを指差してる。



心臓はドキリと跳ね上がり

初めてでもない そのドアの向こうに緊張して




「もしかして俺、誘われてる?」

「帰れ。」

「嘘ですごめんなさい。コーヒーが飲みたいです。」



ダメダメなのは俺の方。

そんな彼女をからかうことで
いつも通りを取り戻し、平静を装うなんて。




だってしょうがないじゃん?

相関図に加わったばかりの俺は
まだそうじゃなかった頃に慣れてるんだ。

そうなった今日からの俺たちには
呼び名なんか考えてるくせに、まだ慣れてない。




実感はしてるんだけどなー。

それを喜んでる自分も確実に存在してんのに。



「ふにちゃんはやめようか?」

「ううん。」



クスクス笑って鍵を開けるAヌナに

今日だけは完封勝利を決めたと思ってたけど


いざ恋人になったらどうなるか

ずっと一方通行だったから、わかんなくて




「ふにちゃん。」

「恥ずかしい... 」

「だと思って呼んでる。」

「あーもう、クソぉ... 」




結局Aヌナは魔性の女だ。

この小悪魔に勝とうとした俺が間違ってた。



これからもこの先も

俺はAヌナをからかって
Aヌナがそれにギャーギャー騒いで


そうやって築いてくんだろうな。

そうやって、今日からのふたりにも慣れていこう。




「ねー、Aちゃん。」

「ん?なに?」



だから、もうひとつ。

紺色のスニーカーを脱いでるAヌナの彼氏にしかできない特権で、その実感を貰おうかなって



「好きだよ。すごーーく。」

「あっ.... 」



頭ひとつぶんの身長差を、初めて縮めると

ヌナの口からまた、俺を好きだって言葉を聞いた。



柔らかく重ねた唇の、ほんの僅かな隙間から。





*fin

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はなごん(プロフ) - さあとさん» さあとさん!お久しのぶりなのですヾ(^。^)ノWINNERちゃんのお話でしたが、読んで頂きありがとうございます*(^o^)/* また書けるかなww ふにくんのこのお話以降ずっと書けずにいますが、奇跡的に執筆の神が降臨した際はよろしくお願いします(*´□`*) (2019年9月19日 14時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)
はなごん(プロフ) - マイさん» あわあわヾ(・ω・`;)ノ返信が遅くなり申し訳ありません(;´д`)久しぶりの浮上にもかかわらず読破頂き嬉しいです( *´艸`)ふにちゃんの彼氏感はもう罪ですよね← (2019年9月19日 14時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - わぁお久しぶりです(^^)たのしかったぁ(^^)(^^)またの投稿お待ち申し上げております(^-^) (2019年9月18日 12時) (レス) id: 922fb22c2f (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - またはなごんさんの作品が読めて嬉しかったです\( Ö )/ふにちゃんに振り回されたい...... (2019年9月16日 22時) (レス) id: ef8fe776db (このIDを非表示/違反報告)
はなごん(プロフ) - Raylaさん» 久しぶりの妄想劇場にいらして下さりありがとうございます(´∀`*)もし一途な年下くんを発見致しましたら、是非ともはなごんにもご一報下さいませ(」゜口゜)」 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなごん | 作成日時:2019年8月31日 16時

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