17_ first date ページ49
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まだ傾きもしない太陽の下で
指を絡ませ、並んで歩く俺と彼女。
話す言葉は、いつもと変わらない。
けど、良く似合うボブの髪を耳にかける仕草や
その向こうで恥ずかしそうに照れるヌナの表情が
俺たちの初めてのデートを、実感させてくれた。
「はい、あ〜ん。」
「いい。自分で食べれる。」
「却下。はいAちゃん、あ〜んして。」
「恥ずかしいんだってば!ばかフニっ!」
スプーンに乗せた大盛りごはん。
初めてのデートは、いつもの焼肉屋。
隣に座るAヌナの口元に持っていくと
安定の暴言は吐くくせに、両手で顔を隠してる。
そういうとこだよ。
あーあ。ほんとずるいよな、Aヌナって。
本人は自覚無しにやってるけど
今朝までのヌナなら、肩を叩くか足を踏んづけるか
隙を突いた俺が彼女の口に無理矢理スプーンを突っ込むのがお決まりだっただろ?
「はい、あ〜んして。」
「え、何?」
「何ってご飯でしょー?ふにちゃん、あ〜ん!」
かと思えば、何かにハッとして
指の隙間の奥でキランと目を光らせたら、俺より大盛りごはんのスプーンを、楽しそうに突き出した。
ほんとずるいや。
Aヌナの魔性は100%天然。
困った小悪魔を好きになっちゃったよ俺は。
ふにちゃん...なんて
それこそ俺の方が恥ずかしい。
どんなバカップルだよって感じだけど
「ふにちゃん、たくさん食べてね〜♪」
「わかったわかった。」
「決めた。私 今日からふにちゃんって呼ぶわ。」
「わかったわかった。
はい、野菜もちゃんと食べてね。キムチは?」
俺を心配してボロボロになるまで大泣きして
それでお腹を空かせた可愛い彼女には
今日も甲斐甲斐しく、真心を込めて餌付けする。
会話の成立を無視した呼び名の宣言は、豚肉の表裏を返しながら、軽く聞き流すふりをした。
なのにジワジワと湧き上がる実感が
デレっとだらしなく、自然と頬を緩ませる。
信じらんない気持ちは、悪いけど全く無い。
だって俺、Aヌナを笑顔にする天才だし
例え何があっても、しつこく想い続けてただろうし
彼女を幸せにするプランなら
いくらでも、何通りでも思い付く。
「ねーヌナ。俺も決めた。今日からAって呼ぶ。」
「ちょっ...はっ?」
やっとかーって
高校生で出会った長年の片想いが
大人になった今、ようやく実ったんだ。
真っ赤になった顔から火を噴くヌナとは
約束なんかしなくても別れるもんか。絶対に。
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はなごん(プロフ) - さあとさん» さあとさん!お久しのぶりなのですヾ(^。^)ノWINNERちゃんのお話でしたが、読んで頂きありがとうございます*(^o^)/* また書けるかなww ふにくんのこのお話以降ずっと書けずにいますが、奇跡的に執筆の神が降臨した際はよろしくお願いします(*´□`*) (2019年9月19日 14時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)
はなごん(プロフ) - マイさん» あわあわヾ(・ω・`;)ノ返信が遅くなり申し訳ありません(;´д`)久しぶりの浮上にもかかわらず読破頂き嬉しいです( *´艸`)ふにちゃんの彼氏感はもう罪ですよね← (2019年9月19日 14時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - わぁお久しぶりです(^^)たのしかったぁ(^^)(^^)またの投稿お待ち申し上げております(^-^) (2019年9月18日 12時) (レス) id: 922fb22c2f (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - またはなごんさんの作品が読めて嬉しかったです\( Ö )/ふにちゃんに振り回されたい...... (2019年9月16日 22時) (レス) id: ef8fe776db (このIDを非表示/違反報告)
はなごん(プロフ) - Raylaさん» 久しぶりの妄想劇場にいらして下さりありがとうございます(´∀`*)もし一途な年下くんを発見致しましたら、是非ともはなごんにもご一報下さいませ(」゜口゜)」 (2019年9月8日 21時) (レス) id: 7f7b5ebcca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなごん | 作成日時:2019年8月31日 16時