LOVE ME LOVE ME

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『なー、フニ。
さっきの話の続きだけどな。』



レントゲンの順番を待つ間。

付き添ってくれてたジュンギさんが
なぜだかとても嬉しそうに話し始めて



『俺もお前と同じだった。
年上の奥さんにずっと片想いしてたんだ。』



その話は、所内の人間はみんな知ってる。

なぜなら代表本人が言い触らしていたから。


だから俺は、そう言う面でも尊敬してた。

仕事だけじゃなくて、同じ境遇の片想いを実らせたジュンギさんに、男としても憧れてた。




『知る権利も口を挟む資格も
ビビってたら手に入んないんだぞ？』



懐かしむように

だけど幸せそうに微笑みながら



『無いなら作れ。
お前次第でどうにでもなるんだから。』



過去の自分と重ねた俺の背中を

生意気にも上司に噛み付いた車内で気付いてから
ずっと押してくれてたんだ。



押し方は独特だったけどね。

この人、少なからず絶対楽しんでたよ。




『人が悪いですよ。
あんな言い方するから、俺はてっきり...』

『ばーか。フニは知ってるだろ？
俺、昔っから奥さん一筋。お前と一緒。』




けど、ジュンギさんはやっぱりかっこよかった。

悔しいけど、やっぱり憧れる。


こんちくしょーと思いながらも

俺はやっぱり、尊敬するこの人のようになりたくて









｢奥...さん....とな？｣



なのに、取り戻したはずの尊敬の念も憧れも

たった今また、何を企んでいるのかニッコニコ楽しそうなジュンギさん本人によってぶっ壊された。





瞳孔を見開いて停止するAヌナ。

その視線の先には
ジュンギさんと奥さんが立っている。



言わないで下さいって頼んだのに...

Aヌナにはバラさないで下さいって...




｢A、ちょっとこっち向きなさい。
A？聞いてる？こっち見て。私を見るの。｣

｢はぁ...。実の姉ながらバカ過ぎて呆れる。｣



この場に居ただけで何もかもを察するあたり。

心配してるくせに実の姉に対してのみ天邪鬼になるユンとは違って、さすがは親友アヤちゃんだ。



こうなるってわかってたから
ヌナには絶対に知ってほしくなかったんだ。

知らなくて好きになったとしても
その相手に奥さんが居たなんて知ったら

Aヌナが悪いわけじゃないのに

ひとりで責任を感じて
罪悪感に押し潰されそうになる人だから。



そんな彼女だからこそ

何度フラれようが諦められなかった。


殆ど見せないAヌナの優しさが

傷付かずに済むように
俺も言えなかったんだけど。

15：A bit stupid nuna→←▼

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