LOVE ME LOVE ME

14：Maybe the perfect potato ページ41

・

｢なんだそりゃ。｣

｢へっ...？｣



振り向いた彼女の泣き顔は

とんでもなくブスだった。



｢死んだのにぶっ殺されんの？
それとも死んでさらにぶっ殺されんの？｣



涙はもちろん、鼻水も大洪水。


死んだらぶっ殺すよ、なんてさ

なんだよそれって思うだろ？
矛盾だらけだし、さすがの俺も意味がわからない。

ミノなんて笑い過ぎて別の意味で泣いてるくらい。




｢Aヌナって残酷だなー。あはは！｣

｢フニ.... ｣



なにせヌナが泣きながら心配してたのは人形だ。

そこに居たせいで意図せず茶番に巻き込まれた医師や看護師も、ヌナのバカさ加減に堪えてる。

講習室と書かれたこの部屋では、その名の通りデモンストレーションが行われてるだけだから。




大きな勘違い。プラス激しい早とちり。


それで暴走したAヌナはめちゃくちゃ滑稽で

気付いてどこかに穴を探す仕草は、きっと無意識。





｢Aヌナを置いて死なないよ、俺。｣

｢当たり前だバカ...。心配して損した... ｣



だけど、俺にとっちゃ最高に胸キュンだった。

このブス過ぎる泣き顔も
なんならもう大洪水の鼻水まで可愛い。


こんなにも心配してくれたんだって

この泣き顔にときめいて そう思うのは
たぶん、世の中に俺だけしか居ないはず。


それだけでもう満足だったのに...




衝撃は衝撃だった。

だけどジュンギさんのマセラティは
後ろ側のバンパーがボコって凹んだ程度。


高速道路の真ん中だし、事故現場が事故現場だっただけに、一応救急搬送されたものの

骨にも脳にもどこにも異常なし。
俺は手首を捻っただけで、代表はなんと無傷。


事故の相手とも円満に解決済み。

救急車も貴重な体験で




｢居なくなったらどうしようかと思った.... ｣

｢あ....えっと、、、Aヌナ...？｣




それよりも貴重な体験を、今してる。

今日までの人生で1番かも。


まさかAヌナが俺に抱き着くなんて。

俺の胸ん中で、女の子みたいに泣くなんて。



いや、Aヌナは一応女の子なんだけど

嘘嘘。俺はずっとそういう目で見てるよ。うん。
ちゃんとそう言う目でヌナを見てるけど




まず、ぴーぴー大泣きするAヌナなんか

長年片想いをしてるけど、今日が初めてで



淡い期待。もしかしたら、もしかして。


野次馬が増えても、都合が良くても


根っから前向きに出来てるから

どうしても期待して、それが膨らんでしまう。

▼→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す