LOVE ME LOVE ME

▽ ページ32

・

履歴の1番上は

いっつもフニが独占してたんだ。


なんの変哲もない、他愛もないメッセージ。

招集用のただの連絡事項とか
それだけ？ってこととか、何それってこととか。



そのなんでもない履歴が

この5日間で、みるみる下へ落ちてって


�� 仕事終わったら映画観に行かない？ �瓩辰�
フニの誘いに返した私の、たったのひと言を最後に


そこから時間が止まったように動かない。


私が返した�� いいよー �瓩�

そこでぽつんと取り残されてるの。




｢なんで私が凹まなきゃなんないのよ...｣




はぁ...と、何度も零れた溜息を拾い集め

ベッドからキッチンへ立ち上がる。


家に帰ってそのままダイブした。

着替えもせず大の字でうつ伏せてたけど
とりあえずビールが飲みたい。お腹も空いた。



アヤに責められて、ハルちゃんに叱られて

ミノには大いに呆れられ

今日もまた とことん気分が重いのに
人間、凹んだくらいじゃ全然 死なないのだ。

喉も乾くしお腹も減る。

働いたらその分 ご飯を食べたいし
労いの1杯だって欠かせない。



冷蔵庫からビールと食材を引っ張り出すと
埋まった両手の代わりに、右の足でそれを閉じて

まずはひと口でほぼ半分飲み切ったら

ぴっと封を開けたのは、真空パックのスペアリブ。



こういう時、決まってするのが料理なの。

しかも無駄に凝った、手間のかかるレシピ。


けど、とにかく無心になりたい時には最適で

一心不乱に打ち込める上に美味しくお腹に収まる料理は、意外とも似合わないとも言われるけど


これが私のストレス発散法なんだ。

わかっててする気持ちの悪いモヤモヤを
キッチンに立ってる時間だけは、忘れられるから。



酷いこと言ったってわかってる。

悪いのは私。ほんとは全部わかってる。


アヤが言いたかった通り
フニは誠実だから、そんな暇潰しなんかしない。

ハルちゃんが言ってた通り
それを彼氏ごっこと本人に言った私は最低だ。


何もかもフニの所為なんかじゃもちろんないし

それで気が晴れるわけもない。



でもさ...


私も悪いけど、フニだって悪いんだから。

なんでジュンギさんはダメなのか
結局、理由ははぐらかしたまんまだし

あいつの付き合おうは
聞きすぎて本気かどうかもわかんないし....。





｢痛っ... ｣


熱したフライパンの油が飛んで、頬に痛みが走る。

でも、こんなの大した怪我じゃない。


ほんとはもっと痛むところがあるくせに

知らないふりして、目を逸らしているけど。

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す