LOVE ME LOVE ME

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わかってる。


俺が知ってるAヌナは

みんなも知ってるAヌナ。



わかってる。

ヌナの笑顔も声も、嫌いな食べ物も好きな色も


共有してる。俺だけが知ってるわけじゃない。

俺だけのAヌナじゃない。




だけどそんなの今に始まったことじゃないから。

積み重ねたのは、もう何年分の片想いだろう。



だからさ、落ち込んだってしょうがないじゃん。

ていうか、落ち込んだってしょうがないんだよ。




代表のデスクの後ろに置かれた ただの袋が
今日1日、やけに目に付いたけど

街を歩けば同じ物は簡単に探し出せる。

特にこの辺だった
持ってる人は、5分で発見できるだろう。



別にいい。

誰を好きになろうと、誰と付き合おうと。

Aヌナに好きな人が出来て
それで凹んで傷付くなんて慣れっこだ。


だけどジュンギさんはダメ。

傷付くのはAヌナで
最後に泣くのも、必ずAヌナだから。



もしも本当のことを知ったら

なんて、考えるだけで恐ろしい。


俺が1番怖いのは、ヌナが笑顔を失うこと。

落ち込む彼女が容易に想像出来るから。


あんなんだけど
ヌナってやっぱり、ユンと血が繋がってる。

知らなかったにしろ
知れば激しく後悔するだろう。

クソ真面目に反省して
きっと深く傷ついて、誰よりも自分を責めるはず。



見た人を幸せにするいつもの笑顔が
Aヌナ最大の魅力。

そんな顔、絶対に見たくないんだ。
そこに惹かれて、もう何年も片想いをしてる。


だから本当のことを知る前に
俺がAヌナの軌道を修正しないと。

ジュンギさんのこと。
思った通り、まだ知っては無さそうだし。




｢関係なくない。
とにかくジュンギさんはダメだから。｣

｢意味わかんない。なんで急に首突っ込むわけ？
彼氏ごっこしたいなら他でやってよね。｣

｢は？今なんて言った？｣




勝手にそう思って、勝手に騎士(ﾅｲﾄ)を気取ってた俺は

もしかしたら彼女にとってずっと
実は誰より邪魔くさい存在だったのかもしれない。




｢彼女が居ない時の暇潰しに
友達の姉を使うなって言ってんの。｣

｢ちょっと待てよ。彼氏ごっこ？
Aヌナ、それ本気で言ってんの？｣




単純だった糸が、難しく絡まっていく。


いつだって本気だった。

いつだって本気で、真っ直ぐ愛を告白してたのに




｢わかったよ、Aヌナ。

じゃーもうやめるね、彼氏ごっこ。｣




高校生の時から更新し続けた失恋は

今日でもう最後にしよう。

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