LOVE ME LOVE ME

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いつ、どこで、どうして

ひとりで考えたって
答えになんか辿り着くはずない。


だから俺はひとりで悩むのが嫌い。

Aヌナは、こじ開けられるのが嫌い。




｢観ないなら帰ろ。｣

｢だね。帰ろう。｣




劇場内が静かに暗くなる。

俺のタイミングは間違ってたし
いつもだったら、ヌナの言う通りにしてた。


怒ったように俯いた彼女は
俺の同意に驚いて、すぐに顔を上げたけど

新作映画のPR中。まだ本編が始まる前。

先に席を立った俺を追い掛けて
座席の間を縫い、薄暗い階段を下りてるのに




｢待ってフニ...っ！なんで怒ってるの？｣

｢怒ってるんじゃないから。｣




7番スクリーンを出てすぐ
ドアを開けて待つ俺の袖を捕まえるAヌナ。

気の強さを睨む瞳に浮かべてるくせに、紺色の袖先をぎゅっと握り締める手は迷子の子供みたい。



いつどこでどうして

Aちゃん、なんて呼ぶ仲になったんだろう。


いつどこでどうして

ほぼ毎日通うほど、ふたりの距離が縮まった？



いくら考えても

俺ひとりじゃ想定しか生まれないから


だからあとには出来なかったんだ。

いつもの俺なら今みたいに
嫌がるのをわかってて、答えをこじ開けない。




｢ヌナの好きな人は、ジュンギさん？｣

｢それで怒ってるの？｣

｢怒ってるんじゃないって。聞いてるだけ。｣




映画なんて、ただの口実だよ。

知るまでグルグル渦を巻いてた嫌な予感が
焦って余裕を失うくらい、頭ん中を掻き乱してた。


Aヌナのセンスが良いなんて
まるで知ったような口振り。

そんなの、俺だって知ってるし。

ユンだってハル先輩だって、ミノだってジヌひょんだって、もちろんアヤちゃんだって、わかってる。

誰よりもよく知ってるのは
俺たちより、少し変わったあのオーナーだ。




｢答えて。ヌナの好きな人はジュンギさん？｣

｢ねー、どうしたのフニ。なんでそんなこと...｣




いつ、どこで、何よりどうして。


確かに男から見てもかっこいい。

尊敬してるし、憧れてる。


だけどジュンギさんには
ヌナを好きになる資格なんてないはず。



相手は上司なのに胸くそが悪くって

上映時間ギリギリで
明確な言葉を聞かずとも確定した嫌な予感より




｢Aヌナ、あの人はダメ。絶対ダメ。｣

｢なにそれ.....フニには関係ないじゃん！｣




とにかくAヌナが傷付かないように

とにかくAヌナが
間違ったそっちの道へは行かないように



ただそれだけだった。

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