LOVE ME LOVE ME

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｢アイスラテとハムサンド。
半分でいいや。半分はジヌちゃんにあげるね。｣

｢僕はもう食べたよ。｣




休憩に出たところで通りを渡るだけ。

カウンターで眠そうにしてる店員さんは
注文は受けたけど、お腹がいっぱいらしい。



入口から1番遠いテーブルに座ったら

ピークを過ぎた心地良い店内に
さっきより少しだけ、気分が和らいで


ウェストポーチからスマホを抜き出すと

去年の夏、うちの屋上で花火をしたロック画面の集合写真スライドさせた。




黄緑色のアイコンには、赤い丸の通知が4つ。

開くと写真が届いてて
まずは私の弟が上司に怒られてる後ろ姿。

次は不貞腐れた顔。最後に手のひらのドアップ。

フニのメッセージ通り
撮るなよ！って怒るユンの声が聞こえてきそうだ。



何を失敗したんだか。(笑)

しゅんとしおれる後頭部の向こうで
腕を組むたハルちゃんが仁王立ちしてる。


ていうかフニもフニだよ。

そんなところを撮るなんて
会社で、しかも勤務中に何やってんだか。(笑)



ユンは頑固だけど
それって相手によりけりなんだよね。

真面目に頑張り過ぎて、たまに空回りもする。

きっとアヤにはもう愚痴が届いてるだろう。




｢ジヌちゃん、今夜も招集が来そうだよ。｣

｢あははは。今日は誰を励ます会？｣




メニューには無いハーフサイズのハムサンドが届いて、ジヌちゃんの笑顔が癒しを放つ。



ここは私のパワースポットかもしれない。

いつだってジヌちゃんが居てくれるし

もう少し早く来てれば
誰かしらひとりは友達が居ただろうし



｢あれ？ジヌちゃん
私が頼んだの、アイスラテ...｣

｢そうだっけ？
なんか温かい方がいいと思ってさ。｣




猫の形をしたマシュマロが浮かぶラテが

重たくて沈みそうだった心も
じんわりと温かく、溶かしてくれた。



きっと、この癒しの国のプリンセｓ...

いやプリンスに、特別な意味は無いんだろうけど


フニに彼女が居た昔の話に凹んでたなんて

お客の前で思いっ切りあくびする店員さんのおかげで、誰かに打ち明ける前に軽くなった気がする。




｢可愛いね、猫ちゃん。｣

｢それ犬だよ。｣

｢え...｣




犬...

では無いだろ。どう見たって。


ギリギリ猫なのに、まさかの犬...




｢いらっしゃいませ〜。おひとりさまですか？｣

｢あ、Aちゃんほんとに居た。
オーナーさんからここに居るって聞いて。｣




ここは私のパワースポットかもしれない。

爽やかな風が吹いて、また思った。

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