LOVE ME LOVE ME

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なんだか気分が重い金曜日。

金曜が悪いんじゃない。

今週は途中からずっとこの調子で
浮かない火水木からの、浮かない週末の午後。


特に忙しいわけでもないから、もうすぐ生理かな。
まだ早い気がするけど。




｢ミノー。はい、あんたの取り置き。｣

｢おぉぉ！あざっすAさん！！｣



午前中に届いたパッキンを開封すると、納品書と照らし合わせながらの検品作業。プルオーバーのシャツも届いてる。

黄色と黒の蜂色ボーダートップスが派手なピンク頭に、そこからシャツを取り出し手渡した。



｢そういやAさん、聞きました？｣

｢なにが？｣



ハルちゃんのことでも考えてるのか。ニヤついた顔で受け取ったミノが、思い出したようにそう言って



｢フニひょん、前に彼女居たんすけど、｣

｢それならアヤから聞いた。｣



またそれか。

なんでみんな、いつもいつも
あのジャガイモと私をセットにするんだろう。


その続きは別に興味がない。

私には関係ないし、意味も分かんない。


満タンのゴミ袋を持ち上げたら
ぽかんと口を開けたミノがまた何か言う前に

ゴミはゴミ箱へ捨てるため
バックヤードに行こうとしたんだけど



｢ねーミノ。その話、もうしないでね。｣

｢あー...了解っす。｣



なんか腑に落ちないから

どうしてだか、やっぱり気分が重いから


ドアの直前で振り返り
両手もずっしりさせながら、釘を刺しておいた。



別に興味ない。私には関係もない。


フニに彼女が居たとか居ないとか

このさき出来ようが出来まいが。


そんなのあいつの勝手だし
こっちだって自由だからお互い様だ。


だって友達だもん。

弟の友達でもあるけど、私の友達でもある。


だから私たちは、なんにも変わらなかった。

今までだって、そうだったでしょ？



友達だから、別れたりもしない。

友達だから、いつでも会える。


私に彼氏が居ても

フニが内緒で、彼女を作っても。




｢Aちゃーん｣

｢は〜い｣




両手を軽くして戻ると
今日も定位置に居るオーナーに呼ばれて


真っ赤なレザーのソファに座る彼女は

背もたれに腕を乗せて振り返ったら、ピンクのグロスの隙間からはいつも通りキャンディの棒がはみ出てて




｢そろそろ休憩出たら？もう2時だよー。｣

｢あ〜...ですね、行ってきまーす。｣




コーラの甘い香りがそこから広がり

お昼を過ぎた胃袋をもっと刺激したっていいのに


今日はあんまり、お腹が空いてない。

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