LOVE ME LOVE ME

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テーブルの上には私とユンのアイスラテがひとつずつと、でっかいふたりのお昼ご飯がひとつずつ。




｢ヌナ、ご飯食べないの？｣

｢うん。ダイエット中だから。｣




肩の手は退かしたものの、彼氏彼女の距離感を保つフニにそう聞かれると、都合の良い言い訳を使って誤魔化した。



へぇ〜と、返事の温度は低め。

なのにわざわざこっちの背もたれに腕を伸ばしてて

このジャガイモは無駄に手足が長いから
反対の片手で器用にハンバーグを切り分けてる。




ダイエットなんて、常に明日から始めるもの。

スレンダー美女にはなりたいけど
ご飯の誘惑には勝てないし、敵わない。



て言うより、意思が弱いんだよね。私って。

ダメってわかってても
何かと理由を付けて屈してしまう。


だから今日みたいに食事を抜くのは
月末によく起こる単なるお財布事情だ。

社割もあるからまいっかって

ヒモ野郎に貢いだ春の新作が
今月のカード明細に、ずらりと並んでるの。



あー情けない。ほんと情けない。

けど、貧乏だからご飯が食べれないとか
弟には言えても、弟の友達には言えないじゃん？

自分の所為だもん。
ユンの伝票には私のラテも入れてるけどさ。




｢はい、あ〜ん。｣

｢は？なに？｣

｢何ってご飯。はいAちゃん、あ〜んして。｣




横を向くと、ちゃんと食べやすい大きさのハンバーグが、目の前のフォークに刺さってる。

その奥では、テーブルに付いた頬杖に
フニが笑顔を乗せていて




｢ダイエット中って言ったじゃん。要らない。｣

｢俺さー。痩せてるだけが女の子の可愛さじゃないと思うんだよねー。｣

｢別にフニの好みなんて...｣

｢わかったわかった。
でもほら、ハンバーグが待ってるよ？｣

｢今お腹減ってなっ...あ...｣




言い訳の途中で鳴き出したお腹の虫。

嘘の効果は、見事に消えて無くなった。


恥ずかしさのあまり油断してたら

その隙を突いたフニが
開けっ放しの口にハンバーグを突っ込んで




｢おいちーねー？よしよし。｣

｢ひょん、見てらんない...｣

｢そう？面白いじゃん。｣




前で思いっ切り凍り付く弟。

後輩は、子供扱いされる先輩を見てニヤニヤ。


そんなの気にせず私の頭を撫でるフニは

遠くで微笑むジヌちゃんとおんなじ顔をしてるけど



｢ご飯食べて幸せそうなヌナが可愛くて大好きだよ。
ってことで、俺たち付き合わない？｣

｢付き合わない。｣




このやりとり、もう10年以上続けてる。

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