LOVE ME LOVE ME

８：Maybe the perfect potato ページ19

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みんなはAヌナを

いつまで経っても学ばないバカだと思ってる。


俺もそう思う。

ただし、満場一致で恋愛に関してのみ。


その他のことなら人より優れてるくらいなのに
どうしてだか、そこだけが全く成長しない。


けどAヌナには
よくわかんない不思議な吸引力があって


笑顔が最高に可愛いって言う、最強の武器もある。

身内以外には礼儀も正しいし、姉弟そっくりだろ？



だからヌナが誰かを好きになると
相手も必ずAヌナを好きになるんだ。

百戦錬磨ってやつ。
最後はいっつもフラれてるんだけどね。

だって、いつまでも学ばないバカだから。




｢...なにしてんの。｣

｢迎えに来たよ、Aちゃん♪｣




ま、それは俺も同じか。

いっつもフラれてるくせに
報われそうにない片想いを諦められなくて

ポップアップ表示だけで確認できた短いメッセージは、このサプライズ用に既読も付けなかった。




｢バカもん。返事くらいしろ。｣

｢え、うそ。もしかして寂しかった？｣




いつまで経っても学ばない大バカ野郎。

こんな風に試してみても、答えは決まってる。



｢そんなわけないでしょ。
ばーかばーか。ばかスンフン。｣

｢はいはい俺はバカです。その通り。｣




ほらね。絶対そう言うと思ったんだ。


ムスっ拗ねたとほっぺたを膨らませながら
手が掛かる子供みたいに動かず立ったまま。

だけど顔は鬼のお面でも被ってるみたい。
それさえ可愛いと思うのは、世界で俺だけだろう。




｢機嫌直さないとデートしてやんないよ。｣

｢デートじゃないから!!｣

｢わかったわかった。
わかったけど、拗ねてると行かないよ。｣

｢ふっ...フニが遅いから悪いんでしょ！｣

｢遅くないし。俺、待ってたし。｣

｢ごちゃごちゃ煩い！｣




距離が縮まると生意気になるところだって

数ある彼女の魅力の、ひとつに過ぎない。


月末になると金欠娘を餌付けするけど

月が変わると、今度は俺が餌付けされる番で


これも恒例と言えば恒例行事。

要らないと意地を張るヌナの口に
食料を突っ込み続けた健気な俺への報酬は


月に一度、ヌナとふたりでデートすること。

報酬と言うか、ご褒美だな。


高校生の頃からヌナが好きだった俺が

大人になったから貰える、嬉しいご褒美。




｢ほら、早く行こ。｣

｢うん。手繋いで行こ。｣

｢手は繋がない。｣

｢なーんだ、残念。｣




どんなヌナでも大好き。どんなヌナでも。



だけど彼女は、時々残酷だ。

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