LOVE ME LOVE ME

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お給料日にご馳走しなきゃ

そう思ってたから誘っただけ。


忘れてただけ。

私がご馳走するのは、貰ったその日がお決まりなのに。





｢お、このシャツ可愛いじゃん。｣




客足も減る閉店間際。センスの良いBGM。


週末に入荷予定のアイテムを確認してたら

後ろからニョキっと、ミノの横顔が生えてきた。




｢これいつ入ります？｣

｢金曜日だって。｣




スクロールを止めた場所にあるのは

シンプルなプルオーバーの、白いシャツ。


どうせハルちゃんに似合うとか思ってんだろ？

だからニヤニヤしてんだろ？この熊さん小僧め。




｢...どうしたんすか？Aさん。｣

｢んー？別に〜...｣




いつもなら驚いて、とりあえず殴ってる。

そんで大袈裟に痛がるミノと言い合う場面。


異変に気付いた後輩は、いまさら頭を防御したけど

その姿勢のまま心配するのって、どうなのよ。




｢金曜休みでしょ。取り置きしとく？｣

｢...いや、マジでどうしたんすか...
Aさんなんか変なもんでも食いました？｣

｢別に食べてないけど、するの？しないの？｣

｢します...。｣




まったく失礼な奴だ。

さすがニヤニヤ熊さんの見立て通り
私も熊さん彼女に似合うと思っただけで


変なものだって食べてないし

むしろ昨日のランチは
王子様のおかげで贅沢なイタリアンだった。





別に、気にもなってない。

別に、凹んでるわけじゃない。


朝には来ると思ってた返事も

まだ既読にさえならないLINEも。



別に。別に。別に。

昨日からこればっかり。


ミノとやり合う気にもなれず

入り口のガラスでも拭こうかなって

PCの前から離れ、カウンターを出ると





｢やっほー。｣

｢え、なんで!?｣




開けっ放しの入り口に
ひらひら手を振りながら立っていたのは

今日も爽やかな風を纏うジュンギさんで




｢Aちゃんに会いに来たよ。｣

｢えへへ。｣




人影を感じた時、最初はフニかと思ったんだ。

でも、その瞬間にっこり頬が上がったのは
いつだって甘い彼の言葉が、もちろん嬉しいから。




｢ついでに見てってもいい？まだ間に合う？｣

｢どうぞどうぞ！何かお探しですか？｣

｢お！それすごく店員さんぽい！｣

｢店員さんですよ。(笑)｣

｢あ、そっか。Aちゃんは店員さんだ。｣




店内を見る間ずっと

ただでさえ人相の悪いミノが
真顔でじろーっと視線を刺してたけど


やっぱり私は、王子に恋してる。

職業病じゃない笑顔が、その証拠。

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