LOVE ME LOVE ME

７：A bit stupid nuna ページ17

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大将軍から受け継いだ矛を手に
凛々しく馬に跨り、戦(いくさ)へ向かう主人公。


貧しく身分の低かった少年は
苦難を乗り越え、前向きに成長して


今じゃ約1万の兵を率いる、立派な武将だ。




｢うぅ...ぐっ......頑張ったねぇ...よく頑張ったよ...｣



自宅でひとり。

マンガを読んで泣く私。泣くというか、もう号泣。


部屋の角に置いた１人用ソファの周りには

フローリングに直置きした缶ビールと
ハルちゃんに借りたコミックが積み上がってる。



今日は滅多にしない早番だった。

重たいトートバックごとお預りしてから
今夜の過ごし方は、こうするって決めてたの。


みんなと一緒も大好きな時間だけど

こうしてひとりを楽しむ夜も、たまには必要で



1LKと呼ぶのか、1Kと呼ぶのか。

私の家は、少し間取りが変わってる。


部屋のど真ん中にコの字型で仕切られた壁の内側は
なんとキッチンスペースになっていて

そこをぐるりと取り囲む居住空間には
水回り以外の壁も仕切りも、もちろん扉も無い。



ね？

変わってるでしょ？


だけどこれが私のお城。お気に入りの我が家。

入居を即決したのは、ドラマや映画のヒロインになれそうな、ウォークインクローゼットだった。


築年数がとてつもなく古いけど

ベッドカバーを買い替えたり
去年は壁をティファニーブルーに塗り替えたりして

初めての一人暮らしからずっと、更新し続けてる。



でも、次の更新はどうだろう？

もしかしたらもしかすると、近々引っ越しとか...




｢なーんてね！うはっ！！｣




ぎゃーぎゃー煩い私の両足が
ジュンギさんとのゴールインを想像して大暴れ。

その勢いでスリッパが飛んで
ピンク色のカカオフレンズが弧を描いた。


拾いに行こうと立ち上がったら

引き留めたのはLINEの通知音。送信者はアヤ。




愛しのアヤりんねーA。
ちょっと前まで、フニくんに彼女いたらいしよ。




...ふーん。

へぇ〜、そうなんだ。


でもなんでわざわざ？ しかも昔のことなのに。

ジャガイモのくせにモテんだし
彼女が居たって別に不思議じゃない。


アヤってば変なの。

フニに彼女が居たってだけじゃん。


ふ〜ん。そっかそっか。

高校生の頃から私に告白し続けてるくせに



なんだ。ちゃんと恋愛してるんじゃん。

彼女とか作ってるんじゃん。






23時13分明日の夜って何してる?



そう送った相手はフニで

アヤには驚いてるスタンプで返事をしておいた。

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