LOVE ME LOVE ME

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何か企んだな。あれは。

けど、ジヌひょんはやめといた方が...


ダンス部でも自分で顔担当って言ってたし

スパイにはまるで向いてない。


まーいいや。楽しみにしておこう。

愛すべき長男坊の間抜けっぷりも含め。




｢それで、Aさんは今どこ？｣

｢家だって。たぶんマンガ読んでる。
なんだっけ。中国の歴史マンガ。始皇帝の。｣

｢キングダムね！！私が貸したやつ！！｣




爽快な音と共に開いた缶ビール。

カコンとぶつけ合うと、みんなの首が上を向く。



たまの早番で先に帰ったヌナの居場所は

ミノが気にするまでもなく
なんなら聞くまでもなくアヤちゃんがご名答で

この間ハル先輩が事務所に持参してた、ずっしり重そうなトートバックの中身も、たった今 解明された。




｢給料入ったし、月末まで餌付けはお休みだな。｣

｢お休みしてていいの？焦ったりしない？｣




スパイにはまるで向いてないけど

ジヌひょんは時々
誰もが触れない場所を、自覚無しに突く。



焦ってるよ。

ニコリと両方の口角を上げて
笑って誤魔化すことは簡単なのに



Aヌナが新しい恋をしてもしなくても


毎日毎日、焦ってる。





｢てか誰？どんな奴？アヤ、聞いてないの？｣

｢聞いてないのよ。
今詮索すると、A嫌がるから。｣

｢さすがアヤちゃん。
次こそまともな男だったらいいね。｣




大好きなおねーちゃんに好きな人が出来ました。

僕はどんな奴か気になって仕方ありません。


そう顔に書いてある彼氏とは真逆に、中学の1年生の頃からヌナの親友をやってる彼女は的確だ。



余裕ぶる俺とも、正反対。


大好きなAヌナに好きな人が出来たら

変わらないと言いつつ
ほんとは気になって仕方がないんだ。




｢なんかね、仕事はちゃんとしてるみたい。
優しいし、お金持ちとは言ってたよ。｣

｢あのね、ハル。Aさんはそうやって嘘吐く男に騙され続けてきたんだよ。バカだから。｣

｢えー。ミノ、それ言い過ぎじゃない？｣




なんて言うわりに
ジヌひょんはニッコリ笑顔で楽しそう。

残念ながら、ハル先輩にヌナの過去を暴露してるミノは事実を言ってるから。



俺だったら、ヌナを笑顔にする才能がある。

幸せにする自信もあるのに
Aヌナってほんと、バカだよなーって




そう思いながら、怖かった。


正直に言えば

胸がズキンと痛む度、いつも怖い。



今度こそ良いイケメンに出会ってたら

どうしようって...

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