LOVE ME LOVE ME

▼ ページ11

・

翌日の朝。出勤してすぐ。

昨日ジュンギさんが言ってた通り、来月から着工予定の物件についてミーティングが始まった。



昼一番に社外で別物件の打ち合わせ。

それが終わると、これまた別物件の現場へ向かう。


もちろん俺じゃない。

共有ファイルで確認したジュンギさんのスケジュールは、今日も多忙を極めてる。




｢ジュンギさん、昨日はありがとうございます。｣

｢おーフニ。ぜんぜんいいよ。気にすんな。｣




だから代表が出掛けてしまう前に

昨日のお礼を言わなきゃって。


散々 飲んで食ってした俺たちの食事代は激安で

今日はピシッとシャツでキメてるジュンギさんが
それまでの分を、一緒に精算してくれてたから。




｢代表ごちそうさまでしたー。
行ってらっしゃいませー。私は仕事に戻りまーす。｣

｢はーい。よく働いて会社に貢献して下さーい。｣




通りすがりに雲より軽い感謝を伝えると、さっさと自分のデスクに向かう、まだ眠そうなハル先輩。

そんな部下にも寛大な笑顔を送るうちの代表は

この業界じゃ名の知れた有名人なんだけどな。(笑)




｢ったく。ハル先輩は飲み過ぎなんだよ。
それより昨日はほんとすいません...。｣

｢だから気にすんなってば。ハルくらいが丁度いい。
あとユンの話は長いから、それで止めといて。｣




思わずぶはっと吹き出した。

横に立つユンには睨まれたけど、ユーモアたっぷりのジュンギさんが、最後に加えた言葉が決め手だ。


確かに昨日のハル先輩は大いに酔っ払ってて

部屋の中でミノにおんぶされた同じ写真を
グループLINEに連続投下してたくらい。


ハル先輩以外の上司には礼儀正しいユンは
そんな代表にてへへと笑って、出発を見送ってる。

これでも昔、荒れてる時期があったらしい。


高校時代の部活。当時は5人だったチームのリーダーに、1年なのに抜擢されたんだ。

けど、誰ひとりとして反対しなかった。


年功序列を文句言う暇があるなら
そのぶん、技術の向上に費やしたかったし

ユンには確実なリーダーシップがあったから。
それは今でもそう。


だけどAヌナが言うには

中3で高3のアヤちゃんと付き合ってから
ゆっくりゆっくり、変わっていったんだって。



いーなーって

単純に、ミノもユンも羨ましい。




何も知らず、何も知らないまま

なんの危機も覚えていなかった俺は



呑気にスマホを開き、昨日の履歴を読み返してた。

５：A bit stupid nuna→←４：Maybe the perfect potato

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す