LOVE ME LOVE ME

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薄情な弟がどれだけ悪く言おうと

顔面偏差値だけは誰もが羨むくらい高かった。


確かに無職の貧乏司法浪人生だったけど
受かれば弁護士か検事。将来は期待できるはず。

いつか受かるって信じて
私なりに彼を支えてきたつもりだったのに...




｢ヌナは男を見る目が無さ過ぎる。｣

｢おいコラばかスンユン。2回も言うんじゃないわよ。みんなが誤解するでしょ？｣

｢誤解はしてないっすよ。
Aさんはマジ見る目無いっすからね。｣

｢そっか。ミノは来月の休み要らないってことね。｣




えぇ!!っと大袈裟にショックを受けるミノ。

これでも職場じゃ副店長をしてる私は
後輩の生意気な言動を職権を乱用して厳重注意。



だけど本当は、私だってちゃんとわかってる。

うちの弟が実は姉思いだって。

クソ真面目だから融通が利かないだけ。
正論しか言えないだけで、何ひとつ間違ってない。


だからユンの言う通りなんだ。

歴代彼氏はみんな、どれも選りすぐりのクズばっかりだった。



モデルみたいにカッコよかったけど、医大生だって聞いてたのにプー太郎だったこともあるし

ジヌちゃん並に美しいけど、ジヌちゃんとは真逆に
器用で大嘘吐きで、女遊びのスキルが高かったり。




｢平気平気。大丈夫大丈夫。
Aヌナは拗ねてるだけだよ。ね？｣

｢何よ。年下のくせに...｣




それを言うなら"年上"のくせに、だ。


乗せたままの手で肩を撫でながら
元々ほっそい目をまだ細くして

どうしてだかいつも、私の本心を見抜くフニだって


みーんな昔から知ってるの。

ユンの姉なのに、私のダメっぷりを見てきてる。





自慢じゃないが、意外にもユンはすごい。

頑なに真っ直ぐ努力するタイプだから
高校時代のダンス部ではチームのリーダーだった。

根っからクソ真面目な奴だけど
ギターも上手だし歌なんて聞き惚れるくらい最高。



そのダンス部で知り合ったのがこの4人で

学年はバラバラだけど、その頃から仲が良くて




｢ユンは隠れシスコンだもんね。｣

｢ジヌひょん。それこそ誤解だから。
実の姉があんまりにも学ばないから心配してんの。｣

｢あんたみたいな弟に心配されてもね。｣

｢とか言ってAさんも弟大好きっすよね。｣

｢やめろよミノ！気持ち悪い！！｣

｢こっちだって気持ち悪いわボケカス!!｣




こんな風に、いつもお互いを蔑むくせに

揃って体を震わせる姉弟の仲は、たぶん悪くない。




だから私も、この輪にすっかり溶け込んでる。

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