8 賢者 ハロウィン事件 ページ10
ハロウィン当日
Aはアメリアとサラと一緒に食堂に来ていた。
が、Aは途中で用を思い出したように引き返した。
「ごめんなさい、談話室に忘れ物をしてしまったらしいの、先に行って。」
二人の返事もまともに聞かないまま、Aは地下への階段を降りていく。
するとちょうど良く同級生の彼が上がって来るところで鉢合わせた。
急いで駆け下りて行くその少女に、ドラコはあまり深く考えずに呼び止めていた。
「マロニエ。」
「あらマルフォイさん、悪いけど用があるからまた後で。」
「あ、おい！」
静止しようとしていた手は空気を切って、掴み損ねた。
マルフォイはAの言う通り、彼女に用があったのだ。
それは自分とどこかで会ったことがないかという、途方も無い話。
だが改めてよく考えて見れば、彼女の容姿は自分の母親や自分によく似ている。
「(だから、違和感を感じるのか。)」
と勝手に結論づけ、既に見えなくなった少女の背を見つめた後、ローブの裾を翻して大広間へ向かった。
だが彼の推測は強ち、間違っていなかった。
一方のAは、談話室のテーブルに転がっている手帳を取り上げた。
「危なかったわ。」
それはAだけしか開けないようになっている特中の手帳であり、簡易だが防御呪文も掛けてあるため、誰かが無理にこじ開けようとすると、その正体もわかるようになっている。
「何が良かったって？」
低い男の声にビクリと反応するA。
振り返った先には、肘掛け椅子に腰掛け優雅な体制でAを見つめる男の姿だった。
「A・マロニエ。」
「セオドール・ノットじゃないの。」
二人の間には見えない緊張が漂っていたが、Aはフッと笑った後、女子寮に向かおうとすると、
「それ、簡単だけど厄介な防御呪文が掛けられてるよね。
本人以外が中を見れば、誤った記述を読むことになるし、その痕跡は持ち主である君にしか分からない。
でもそれらを知っている上で、自分自身に防御呪文を掛けた状態で読めばどうなるのかな？」
話の脈絡としてはあまりにもお粗末な内容だが、その意味をAは理解していた。
じいっとセオドールは灰色の薄い瞳を見つめ続けた。
Aは笑って答えた。
「簡単よ、中の文字は読めなくなるわ。
それだけ。」
「なるほど、つまりそれには君の絶対的な秘密が隠されてるってわけだ。」
Aは黙って微笑んむだけで、何も答えはしなかった。
クルリとローブを翻し、立ち去る。
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アサノ(プロフ) - みゆきさん» ありがとうございます！拙い作品ですが、最後までよろしくおねがいします(￣^￣)ゞ (2017年9月2日 7時) (
レス) id: 7b2f68b578 (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - お話とても面白いです！続きも楽しみにしてます!頑張ってください！ (2017年9月2日 0時) (レス) id: 27fb89c1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年8月31日 19時
