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そして、
「ナツ!受け取りなさい!!」
そう言って炎をナツに投げてよこした。
「おう!」
落ちる寸前で受け取った炎の甘さに、ナツは驚いていた。
「なんだこれ、甘い、優しい炎だ。
こんな炎、俺は知らねえ…」
だが驚いている以上にナツは笑っていた。
「でも、凄え優しい味だ。
ありがとな、A。」
ニカっと笑ったナツの拳に再び、炎が宿る。
ラクサスはニヤリと笑った。
「行け、ナツ、
俺とAの魔力だ。
100倍にして返してやれ。」
その熱い言葉に、おうと、ナツは答えた。
炎と雷の融合、それは天狼島の木々すらも破壊していくその様をAは、気絶したラクサスを庇いながら見守る。
「ナツっ!」
やったのか…周囲の声がざわめく中、Aはごくりと息を呑み、腕の中のラクサスを守るようにさらに強く抱き込む。
「…おい。俺は赤ん坊じゃねんだぞ。」
「文句が多いわね。
って、え___」
Aは絶望したように爆炎の中の影に、唇がふるえた。
「うぬらの全力、見届けさせてもらった。
うぬらにはその礼をせねばならぬ、
うぬらがみたことのない世界に連れて行ってやろう。」
そしてハデスの右目から外された眼帯。
現れたものは凄まじい魔力と、そして絶望。
勝てないと確信させるほどの恐怖に、Aはぐっと拳を握った。
「…ラクサス。」
「あん?なんだ。」
「ナツたちをお願い。」
「…おい、まさか。」
ぐらりと立ち上がったAは、絶望するナツたちの前に立ち上がった。
「…それ以上近づかないことをすすめるわ、ハデス。」
地の底から響いために、ハデスはニヤリと笑った。
「もうすでに魔力が切れているものが何を。」
「そうね、魔力は切れているわ、
最後の希望もさっきナツに託した。
私ができるのは、貴方の攻撃をそのまま跳ね返すだけ。」
カッと目を見開いたAの体は、真白な覇気に包まれる。
「A?!」
異変を感じたルーシィが近づこうとした時、触れるんじゃねえとラクサスがその頭を押さえつけた。
「あいつがもともとチームを組んでいたことを、忘れているわけじゃねえよな。」
「そうか…雷神衆は皆、目にもう一つ魔力を宿している。」
「ああ、だがあいつの目の魔力は戦闘向きじゃねえ、だから今まで使ったことがなかった。
あくまでもあいつができるのは、足止めだけ。
見てろ、金輪際見ることのないAの姿だ。」
真剣なラクサスの声に、みんなはAを凝視した。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» 今度、そちらのコメントの方にお邪魔しますね。いつもありがとうございます。 (2020年1月5日 13時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» すみません、紅蓮の起死少しずつ読んでいますが、まだコメントに残せていなくて申し訳ないです。世界観が細かくていいですよね。コナンシリーズも今度みたいと思います。実はあんまりROM専じゃないというのもあって、読むスピードが壊滅的に弱いんですよね。 (2020年1月5日 13時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お忙しいかと思いますが、もし宜しければ一度見て行って下さい。紅蓮の起死が題名になっている筈なので。最近、またコナンシリーズを再度投稿しています。原作の方で灰原の正体が世良真澄に見抜かれているお話がありました。意外に、世良真澄は個人的に好きです。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 成る程。キャラの口調はキャラの特徴ですからね。私の場合は出来るだけマンガを参考にさせて貰って書いています。コナンの場合は大まかなストーリーをなぞりながら。あの、お話がずれるますが、以前こちらの状態で没にしていたオリ作の小説を投稿し始めました。 (2020年1月5日 0時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» キャラの口調とか、大まかなストーリーの流れを外さないように、一応アニメを見ながら描いています。アニメを見ながら、主人公ならこうしそうだなと妄想して、それから文章に起こしています。説明臭くなるのは、私の努力不足ですね、もっとがんばります。 (2020年1月4日 16時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イライザ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月1日 12時